その預言は外れない ページ15
数日後
未だ居座るエリックに、十束がいっそ吠舞羅に入るか?と問うたが
出て行ってしまったエリック
その背中を見ながら
紫城は窓を擦った
大きな、決定的な変化が起きたのはその日の夕方
やっと終えた大掃除に満足していた草薙
あとは周防の部屋だけだと言う話になったところで
紫城が声をかけてくると階段を上がっていく
「消し炭になるって言ったろ、やめときな」
「っ…!?」
周防の部屋へ入ろうとしていたエリックがビクリと肩を震わせ振り返った
紫城のまっすぐと見つめる瞳に
得体の知れない恐怖を感じたエリックは視線を逸らし、拳を握った
「…あんた、普段は何か拾ってきたりしないんだろ。
犬猫を拾ってくるあの人とは違う。
だからあんたが俺に声をかけてるのは
不思議だったって言ってた」
「藤島がなんか言ったんだ?
そうだな、別に俺そこまでお人好しじゃないし。
でも、正解だったかも。
お前の“素性”がわかっても
そこまで危険因子じゃないみたいだし」
「素性って…」
「言わなかった?
お前は上手くいかない、絶対に失敗する。
助けを求めればよかったんだ、初めから。
そんな怯えてるくらいならさ」
何を言っているのだとエリックは言えなかった
全てを見透かすかの様な瞳に、エリックは階段を駆け下りていく
入れ違いで上がってきた十束が不思議そうに首を傾げた
「何かあった?」
「…別に」
「……」
あっさりと返事をして階段を降りていく紫城の背中を見送り
十束は思考する
そしてその夜
十束とエリックは人気のない公園で会うことになった
呼び出したのは十束だった
エリックは十束を殺そうとして
それを失敗した
藤島の介入があってか
それとも、十束の悪運の強さか
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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時