躾 ページ13
その少年は
やたら八田に突っかかったが
エリック・スルトと名乗った
周防の顔を知っていた様だが、特に誰もそれについては追求しなかった
十束が紫城へ視線を向けたが
彼は僅かに目を細めエリックを見ると、すぐに何か食べる?と笑いかけていた
翌日
カレーを口にするエリックを見て
八田が困惑気味に眉を寄せた
「お前、なんでまだここにいんだよ」
「……」
ふいっと目線を逸らし無視するエリックに
八田は機嫌悪く藤島に構う
「なんなんだの、コイツ」
「いや、行くとこないらしいし」
面倒は藤島に押し付けたらしい紫城は
カウンター内で草薙の手伝いをしている
以前藤島が拾ってきたレトリーバーにも嫌われてたよね、という十束の言葉に
藤島はお人好しだと八田は返す
食べおえ立ち上がったエリックに藤島が
ごちそうさまは、と問いかければ
その真っ直ぐな瞳に狼狽えつつ、エリックは小さく口にした
後片付けもしっかりと言われればやるエリックを
八田が揶揄る
「おっ、駄犬も少しは躾ができたか?」
「
「おい、あいつチワワっつったか!?
犬のチワワか!?」
「揶揄るからだろ。
レトリーバーの流れから、人のこと犬扱いするからだ馬鹿」
呆れたようにため息をついた紫城に突っかかる八田を
紫城はあしらって床を擦る
「おまえ、ホンマに行くとこないんか」
「…まあ」
「ワケありかい」
詮索しない草薙は、そのまま床の焦げを擦る
「大掃除スか」
「んー細かいとこコゲとんねん。
なかなか取れんでなー」
「削れば綺麗にはなるとは思うんですけどね。
エリック、水溜めといてくれればいいよ。俺が洗うから」
1度スツールに座り直した紫城が
床の焦げを靴先でなぞる
「…あのさ、あんたら
あの“吠舞羅”なんだろ。
不思議な力があるって、ホントなの」
「不思議な力ね…。
まあ、そういうことなんやろかな」
「誰が…強いわけ」
ピクリと顔を上げた紫城の瞳が怪しく光った
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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時