mystery...27 ページ27
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「……降谷さん、少し―――」
「え、っと、降谷さん―――」
「何なんだ、さっきから!」
突然の零兄ちゃんの大きな声に吃驚し、思わず肩を震わせ、タイプする文字を間違えた。
何事と零兄ちゃんの方を見れば、眉を吊り上げてこちらを見ている。……え、私なにかした?
「そんな遠くから名前を呼ばれても反応できるわけがないだろう!」
「いや、えっと……降谷さんじゃなくて―――」
「でも降谷さんに、」
「だからっ―――」
「―――降谷さんの従妹さんの事を呼んでいたつもりなのですがっ!!!」
零兄ちゃんに怒られていた二人のうちの一人が、目に涙を浮かべて声を上げた。
刹那、ぶっ……と誰かが何かを吹き出す音が聞こえてきた。
「ちょっ……こら、池田」
風見さんの声が聞こえて、零兄ちゃんのいる方とは反対の方へと顔を向けると、その池田、と呼ばれていたであろう男と目が合った。その男、私と目が合うなり再び吹き出し、口に含んでいたらしいコーヒーのようなものを盛大に吹き出した。
私のちょっと引いた視線を感じたのか、慌ててティッシュで溢したものを拭き始めた池田さん。大人しくなった周りを、あれ……と首をかしげながら見回すと、零兄ちゃんは申し訳なさそうに顔を歪めて謝罪した。
「……くっ、悪かった」
「い、いえっ!こちらこそ、すみませんっ!」
「いや……今のは俺が悪い。
……そうだな、降谷は被るし、コイツのことはAと呼べばいい、だろう?」
え、なんでこのタイミングで私に振るの、零兄ちゃん……。
この職場内の視線が一斉に私の方へと向くのが手に取るようにわかる。思わず、深くため息を吐いた後、それでいい、と思うよ?とバトンを零兄ちゃんに戻した。
「本人の了承も得たわけで、以後、彼女を呼ぶときは名前で呼んでやってくれ」
ガシガシと頭を掻きながら椅子に座りなおした零兄ちゃんを、周りもほっとした様子で見守る。終始、笑いをこらえようと必死になっていた池田さんに軽く睨みを効かせてから、私を呼んでいたという人達と会話を始める。
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壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月19日 3時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
ミモザ - すっごく面白いです!次のお話も楽しみにしています!頑張って下さい! (2019年7月26日 11時) (レス) id: 9414b767e6 (このIDを非表示/違反報告)
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