検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:84,715 hit

mystery...27 ページ27







「……降谷さん、少し―――」
「え、っと、降谷さん―――」


「何なんだ、さっきから!」


突然の零兄ちゃんの大きな声に吃驚し、思わず肩を震わせ、タイプする文字を間違えた。
何事と零兄ちゃんの方を見れば、眉を吊り上げてこちらを見ている。……え、私なにかした?



「そんな遠くから名前を呼ばれても反応できるわけがないだろう!」

「いや、えっと……降谷さんじゃなくて―――」
「でも降谷さんに、」


「だからっ―――」

「―――降谷さんの従妹さんの事を呼んでいたつもりなのですがっ!!!」


零兄ちゃんに怒られていた二人のうちの一人が、目に涙を浮かべて声を上げた。
刹那、ぶっ……と誰かが何かを吹き出す音が聞こえてきた。



「ちょっ……こら、池田」

風見さんの声が聞こえて、零兄ちゃんのいる方とは反対の方へと顔を向けると、その池田、と呼ばれていたであろう男と目が合った。その男、私と目が合うなり再び吹き出し、口に含んでいたらしいコーヒーのようなものを盛大に吹き出した。
私のちょっと引いた視線を感じたのか、慌ててティッシュで溢したものを拭き始めた池田さん。大人しくなった周りを、あれ……と首をかしげながら見回すと、零兄ちゃんは申し訳なさそうに顔を歪めて謝罪した。



「……くっ、悪かった」

「い、いえっ!こちらこそ、すみませんっ!」

「いや……今のは俺が悪い。
 ……そうだな、降谷は被るし、コイツのことはAと呼べばいい、だろう?」


え、なんでこのタイミングで私に振るの、零兄ちゃん……。
この職場内の視線が一斉に私の方へと向くのが手に取るようにわかる。思わず、深くため息を吐いた後、それでいい、と思うよ?とバトンを零兄ちゃんに戻した。



「本人の了承も得たわけで、以後、彼女を呼ぶときは名前で呼んでやってくれ」


ガシガシと頭を掻きながら椅子に座りなおした零兄ちゃんを、周りもほっとした様子で見守る。終始、笑いをこらえようと必死になっていた池田さんに軽く睨みを効かせてから、私を呼んでいたという人達と会話を始める。





正式発表(たまに覗いてください)New!!→←mystery...26



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
221人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月19日 3時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
ミモザ - すっごく面白いです!次のお話も楽しみにしています!頑張って下さい! (2019年7月26日 11時) (レス) id: 9414b767e6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シャラルー☆ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年4月28日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。