もう君を愛せない

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仕事を終えて、何事もなかったかのようにいつも通り帰る

やっと慣れてきた仕事で下手やらかさないように、と心の中で思いながら日中過ごしていたが

気づいたら頭の中に泣きつくふっかのことが離れなくなる

会社を出て、少し歩いた先にあの人はいた




阿「あっ…」




あの時、腕を掴んできたふっかの恋人だ





岩「阿部さんですよね。ちょっと時間くれますか」


阿「……はい」






連れてかれた先は小さな喫茶店。

席に座ると彼と向かい合うのが気まずくて下を向く





岩「コーヒーでいいですか」

阿「はい、」





怖い、何言われるんだろう


コーヒーが運ばれてきて、一口飲むとその人はため息をついた





岩「自己紹介忘れてましたね。

岩本です。深澤の恋人です。」



阿「あ、阿部です。…あの、話って…」




岩本さんの目を見るのが怖い

…なんで、怖いって思うのかな






岩「警戒しないでください。喧嘩なんかふっかけません。」




よかったと安堵してるのもつかの間
真剣な顔でこちらを見る





阿「…ふっかのことですか」



岩「そうです。わかっているでしょ。」





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岩「単刀直入に言いますが、今後ずっと俺の恋人に近づくのはやめてください。」


阿「…」


なにも言えない。

そう、俺が怖いと思ってたのは

関わるなと言われるのが嫌だったからだ


心の中で気づいてたんだ
俺のものには、もうならないってこと



岩「ふっかから聞いてます。貴方のこと。

でももう、ふっかには俺がいるんです。

阿部さんなんて、過去の人なんですよ」



そう、そうなんだよ

俺が勝手にふって、俺が勝手に期待してただけで…



岩「もう、前に進んでるんですよ。」



言わないで







コーヒーが冷める頃には岩本さんはいなかった

俺の前にコーヒー代を残して。



……ふっか、俺自己中でごめんな




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阿「でも、諦めるわけなくない…？

まだこんなに好きなのに」





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