44.自由 ページ46
・
「自由になって……いいのかな？」
「知ってるか？ 人間は生まれながらにして自由なんだぜ？」
「……うん」
私は涙を拭って笑った。
「お前には俺もいるし、ゴンも、クラピカも、リオレオだっている」
「…………レオリオ」
「そう、レオリオもいる」
「うん。そうだよね。もう人殺しなんかしなくてもいいんだよね？」
「あぁ。俺も人殺しなんかやめる。2人で新しい世界に踏み出そう、A」
私は力強く頷いて、ベッドから降りた。
まだ刺された脇腹が痛む。
けれども、もう自分の中のリミッターが外れていることがなんとなくわかる。
私は負傷部に手をかざし、大きく息を吸った。
「傷が……!?」
するとたちまち傷口が塞がり、完治したのがわかる。
自分を大事にしていないが故に自分でかけた能力への制限。
でもこれはあくまでも自分の中でかけた制限に過ぎない。
制約と誓約を交わしたわけでもないのだ。
「私、自分と他人の傷を治せるんだ」
そう言ってにこりと微笑む。
「これからは自分のこともちゃんと大事にしていくね。だからキルアもそうしてね？」
「あぁ。約束する」
私とキルアは手を繋ぎ、医務室の扉を開けた。すると目の前にはイル兄が立っていた。
しかしもう何も怖くない。私はもう、イル兄の道具じゃない。
だから…………
「容赦しないよ、イル兄」
私はサイレント・ルームを発動しイル兄の聴覚を奪うと、背後に回る。そして＿＿
「今までありがとう。さようなら」
私はイル兄に最後のお礼とお別れを言うと、キルアとともにゴンたちの元へ歩いた。
＿＿＿＿＿＿＿＿
イルミは、ゴンに折られたはずだった腕を見下ろす。
そこには傷や腫れは跡形もなく消え、白くて細いいつも通りの腕があった。
「…………あのお人好し加減は才能なしだから、仕方ないか」
そう言って皆の元へ去って行くAに目をやりながら、「元気にやりなよ」と小さく微笑んだ。
＿＿＿＿fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆー(プロフ) - めためた面白かったです。いやでも、ホントキルア尊くて〇ねるっすわ(( (2022年9月20日 19時) (
レス) @page47 id: eccc105014 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 死神鎌少女さん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!! 完結最近なんですよね(笑)めっちゃ時間かかりました😂 (2022年4月2日 8時) (レス) @page47 id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
死神鎌少女 - 完結おめでとうございます。とっても面白かったです！というか、完結したのつい最近すぎて嬉しかった(？) (2022年3月30日 17時) (レス) @page47 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - メロさん» 一気読みありがとうございます！！嬉しいです……。そうなんですよ、完結までめっちゃ時間かかってしまいました笑 (2022年2月17日 21時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
メロ(プロフ) - 今日初めて見ましたが、一日で全て読んでしまいました…しかも完結したのがつい最近だと知り、とてもびっくりしてます！とっても面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年2月16日 23時) (レス) @page47 id: 90cba439c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みくる
| 作成日時：2019年3月30日 18時
