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信仰者とイデオローグ ページ47

(11話、12話間――骸視点)

彼女は眠るとき、必ずと言っていいほど魘される。
その顔は、何かを諦めてしまったかのように悲しそうに歪んでいて、見ている僕まで泣きそうになる。

だから、こんなふうに悪夢に魘されることなく静かに眠る彼女を見たとき、心臓が止まってしまいそうになる。
まるで死んでしまったかのように眠る左手を握り、目覚めの時を待つ。この間が、とても冷たく感じるのだ。
寒いよ、怖いよ、起きて。起きて。

「ん……」

彼女の薄く白い瞼が震える。
思わず、握る手に力を込めた。

「紫苑……? 紫苑、起きたんですか?」

怖い。
焦りと恐怖が背中で嗤っている。

「……君か」

紅い双眸が僕を貫けば、背中で嗤っていたそれはふっと消滅して(きえて)しまった。
嗚呼――、

「良かった……生きてた……」

ほう、と安堵のため息をこぼして、目を伏せた。
本当に良かった。きっと、今の僕は彼女なしではまともに生きていられないほどに、彼女に依存しているのだろうと思った。

彼女の傍に居られるのなら、何だって――それこそ、彼女の後を追って死ぬことだって、容易なことのように思えた。

「勝手に、殺さないでくれるかな。……大丈夫よ、少し眩暈がしただけ」

頭上に僅かな温もりと違和感を感じ伏せていた目を開いた。
腕を伸ばし、無表情のまま彼女が僕の頭を撫でていた。
その行為に甘えるようにもう一度目を伏せた。

「すみません……その、大丈夫ですか?」
「ああ、うん」

僕の頭を撫でていた手がぴたりと止まった。

「ありがとう」
「え……」

彼女に礼を言われるのは片手に収まる程度にしかなく、思わず面喰ってしまった。

「……何」

じっと睨まれた。

「え、あ、いえ。何も」

はぐらかすように言葉を濁して、彼女を、彼女の瞳をじっと見つめた。
僕と同じ、だけど違う。そんな瞳を見ていた。
「私が」紫苑。

「私が、またこうやって倒れたら、その場で起こしてほしいの。何をしてもいいから」

そう言って目を伏せた。

「……はい」

彼女は何も言わずにつないだままだった左手を握り返した。
彼女が、近いうちにどこか遠い所へ行ってしまうような気がした。

眠り姫、柔らかな午後に→←あとがき



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- いえいえー当然の事を言っただけですー喜んで貰えて光栄ですよー それと、音域を広げる練習、頑張ってくださいー諦めずに頑張れば報われるはずですからねー ふむ、来月ですかーコトハ@白亜さんの小説は奥が深いのでーワクワクしますねー楽しみにしてますー (2015年8月21日 12時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます。そう言っていただけると作ってよかったと思えます…ありがとうございます。なるほど、その方法がありましたね…早速試してみようと思います。アドバイスありがとうございます。せめて再来月までに公開できるよう頑張ります…! (2015年8月20日 18時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
- 大丈夫ですー、ミーも返信遅くなってすみませんー 気に入った作品にコメントするなんて当たり前じゃあないですかー 音域が狭い、ですかーピアノで音を取ると結構出やすいですよーあとは、歌いたい曲を練習してー音域を広げるのもいいと思いますー 続編、待ってまーす (2015年8月20日 15時) (レス) id: 7c8a29757a (このIDを非表示/違反報告)
コトハ@白亜(プロフ) - 杏さん» 返信ありがとうございます、遅くなってすみません!わわ、続編までコメントいただけるんですか…ありがとうございます!嬉しいです!音痴というか出せる音域が狭いんですよね…なので歌が上手い人羨ましいのです… (2015年8月19日 0時) (レス) id: 5c05607229 (このIDを非表示/違反報告)
- はいー、頑張って下さいー続編出来るまで此処を見に来たりしましょうかねー 一番に作品を見に行ってコメントしたいですー…音痴?そんなのカラオケが悪いんですー声の質は様々じゃないですかー (2015年8月17日 11時) (レス) id: 81089b7519 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コトハ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年6月13日 17時

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