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トットッ と片脚ずつジャンプするように階段を降りる
俺は目的の階に着いても飛ぶように歩いていた
…なんでだろう、やけに気分が良い
今の状況が楽しくて仕方ない

「…早く、こっちに来ればいいのに」

呟いて足を止める
廊下の中心の一際眩しいライトが俺を照らした


(…消しちゃえ)

通りがけに廊下の端にあるスイッチをカチリと押した
外が廊下より明るくなった瞬間だった



『そっかぁ…』
『…なぜ、そう思ったんですか?』

彼は頭をかいたり周囲を見回したり少し忙しなく動く

『う〜ん… なんでだろ…
なんか、さっきまでいたような気がしてさ…』
そう言って頭をかく
視線は窓に注がれている
同じく視線を向けると、俺は気付いた

ああそうか、彼が見ていたのは窓じゃない
彼が見ていたのは
遥か遠くの薄暗い空、"グレー"だ

『そう…ですか…』
声は震えていないか、表情はちゃんと作れているか
言葉が続かない 早く何か言わなければ 出任せでもいい
『よ、呼んできましょうか?』
口の中はひどく乾燥している
焦っているのが良くわかった

正直彼を呼びに行く気なんてさらさらない、
…最悪の出任せだ
もうここから立ち去りたい

『えっ いや ほんと大丈夫だって!
…それに、灰崎は…俺に会いたくないだろうし…』
『…』
何故ですか、とは聞けなかった
『すみません…でした』
小さく言う 声は震えていなかった
彼の目を見たくなくて顔を伏せる

『…いいよ…

…とは、言わないからな!』
突然上がった声のトーンに驚いて顔を上げる
目の前の真っ直ぐな黒い瞳が俺を見ていた

『…ッ!!』
だがその瞳は俺が思っていたようなものを一切含まない、純粋な瞳だった

『そりゃあ…一星がやったかは俺には分からないけど… 言ったことは許されないような内容だし、今起きてることも俺には全く判断がつかないし…』

彼は腕を組み悶々としながら言う
あれだけのことを見て何故そう言えるんだ

『…それに一星の事も皆のことも俺は全く知らないから身勝手なこと言うけどさ、
何か一つ誰かに話してくれれば良いなって思う 一星からみて、1番信頼が置ける人。
…チームメイトじゃなくても良いし… 』

この人は今までどこに居たんだろう
どうしてそんな考えになる

俺は次第に苛立ってきた
さっきといい今といい

考え方が違いすぎるのだ
信頼出来る人?全員から疑われているのにわざわざ尻尾を出せと?

俺は拳を握りしめた

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設定タグ:稲森明日人 , オリオンの刻印 , IF   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:Rein | 作成日時:2018年11月19日 3時

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