【IFルート】7話以降IF明日人さん (ページ26)

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…
来た道を走る
廊下を曲がって数秒後に一星と灰崎、不動と吉良の4人が見えた
互いに口角を上げていたが目はちっとも笑っていない

(前にも見た気がする…)

不思議なことに俺は変化のないこの現状に少しほっとした

走るのを止めてゆっくり近づくと一星がこちらを見る
それに合わせて他の3人の顔も見えた

「…あ」

ふいに声が出る
灰崎の目は怒りに染まってはいなかった
吉良は1度目を向けてから不動を見る
一星は俺を見たままだ

「なあ」
不動のいつもより少し高い声
俺には少し楽しんでいるようにも聞こえた

「とりあえずこいつら別の場所に1回拘留しようと思ってんだけどよ、今その弁護人を探してんだ」
「おい不動」
「…つまり？」
遠回しな言動に確認をとる様に尋ねる

不動は後ろで手を組み言った
「お前らが起因してんのは分かってんだろ、"当事者"さんがいねーと話になんねーからさっさと話して解決しろってことだ」
まともな練習出来ねーんじゃ話にならねぇと付け加え、不動は一星を引っ張って行った

一星は嫌そうに不動を見たあと1度俺を振り返る
一瞬だったが視線は前よりも僅かに和らいでいて、どうやら話はしてくれるらしい
その後不動は手を離し少し先の休憩スペースへ入っていった

「おい、お前はどうすんだよあいつの提案に乗んのか？」
「…話し合いしろってか」
灰崎が俺を見て目を逸らした
「俺は、…灰崎に任せるよ、灰崎が話してくれるなら聞く。」
「断ったら？」

「話してくれるまで俺が聞く。」

灰崎は少し顔を上げ、
「んだよそれ結果一緒じゃねーか」
「うん、俺が灰崎の話聞かないわけないじゃん」
そう勢いづけて言うと灰崎はそっぽを向いてしまった
俺も少し表情を緩める

「…訳わかんねぇ…」
吉良が驚いた顔で呟く

だが一瞬和らいだ雰囲気とは裏腹に俺は手に汗握っていた

…

「…なぜ介入したんですか」
「こっちに被害無いなら口出すつもりはなかったけどな」
「意外とお節介なんですね」
「どうだか」

一星は大人しく歩く
もう掴む必要もねぇか…

「解決できるとでも？」
「…さあな、弁護人の力量次第ってとこか」

残念ながら俺は挑発には乗らねぇよ
けど確かにこんな会話続けられちゃ手も出るもんか
あいつにはこれまで落ち着く為の時間と場所が無かったしな

口出しもない、喧嘩沙汰も無い今なら流石に灰崎も素直にあいつに話すだろ、

(解決に向かえば良いけどな)

…つーかあの壁どうすんだ、普通あんなにへこむか？