検索窓
今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:11,220 hit

22 ページ22

「へぇ、どこで?」
「おいおい喧嘩なら早く言ってくれよ」
2人共手ぶらになる
「向こうの、廊下 ちょっと進んだ とこ」
「行くぞ」「たりめーだ」
両側を風が通り抜け
振り返ると2人が走っていくのが見えた
俺にはそれがやけに眩しく見えて、
(…俺じゃ絶対出来ないや)
俺は追いかけるべきなんだ
追いかけて… …追いかけて?
(どうするつもりだろう?)
何も浮かばなかった
止める、とか 宥める とか
そんなのすら浮かばなかったのだ

ああ、もう やだな
「…完全に"第三者"だよ…」
止めもせず、関わらない。見ているだけ
部外者だ

(追いかけなくて正解だったんだ)

俺は廊下に散らばったタオルとボトルを整えて、抱えながらゆっくり歩いた


トレーニングルームの前を通る時に西陰と鉢合わせる
「もう動けるのか」
「うん、次の練習から出るよ」
「…それどこに運ぶんだ?」
「あ、これ えっと…」
(どうしよう、場所聞いてない とりあえず持ってきちゃってた…)
「まさかとは思うが、不動と吉良から押し付けられ」
「違う違う!2人は今喧嘩と〜かじゃなくて、そのー今ーけん… けん… 遣唐使!うん!遣唐使やってるよ!!」
怪訝な顔をされる
(だよね!!)
俺はまたパニックになっていた
「どこに」「廊下!」
「誰に」「一星と灰崎!
…あっ」

もうやだ、反射返答怖い…

俺はもはや石と化した


一方、西陰は少し考えた後
俺の持っていたタオルを上から取っていき、無くなってからカゴを持った
「え、いいよ 俺運ぶ」「お前は行かなくていいのか」
言葉を被せられる 思わず顔を上げる
西陰の真っ直ぐな目
俺は居心地が悪くなって直ぐに下を向いた
「…俺が、行っても 何も出来ないから…」
さっきのでわかった
今の自分には止める勇気すら持っていない
あの場に行くのが怖くて仕方ないのだ
それに、

「…灰崎は、もう 俺のこと嫌だろうし」
口に出すといっそう苦しい

余計なこと

言葉が蘇る
じわと顔が熱くなった

「…どうしてそう思う」
西陰が首を傾げる
「俺が、止めた時 灰崎凄い …怒ってた」
フラッシュバックされる
鮮明に思い出せた
「あれから話す機会もない… でも、っ 俺は一星を悪いとは言えないから… 弁明じゃないけど … 灰崎の方にはつけない…」

ここ数日で俺は 灰崎の友人ですらなくなったのかもしれないから

「…"俺"にできることは無いんだ。

止める資格すら無くなっちゃったから…」


ドサリ

また、物が落ちる音がした

23→←21



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:稲森明日人 , オリオンの刻印 , IF   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Rein | 作成日時:2018年11月19日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。