初恋はマネージャー

35 ページ35

.









間もなく、だんっと荒くドアが開かれて

小瀧くんがむすっとしてその場に立っていた。



望｢ふうまか！｣

風｢お〜、さすが小瀧｣

望｢からかわんでや〜！！｣



もう！っと風磨くんの頭をペしっと叩くと

私の首にかかっていた風磨くんの右腕をさりげなくほどいて

私の手首を痛いくらいにつかんだ。



望｢いくで、もう始まるし｣



望くんは5人にも挨拶をしたあと、少し早いくらいのペースで前をずんずんと進んでいく。



｢怒ってる？｣

望｢怒ってへんよ｣



嘘、左手で自分の首筋に手をすべらせてるくせに。



楽屋に戻れば、A遅かったや〜ん！っと皆呑気にテレビを見てて



｢ごめん、セクゾのみんなと話してて｣

照｢せやったんや｣

重｢え〜！おれも行けばよかった｣



久々に健人に会いたかってんけど〜！と言い出したしげは

その場でばたばたと足を動かして



淳｢ほんまもんの5歳児やんけ静かにせい｣



淳太くんのキレのいいツッコミにみんな大爆笑。

しげはつっこまれたのが嬉しかったのか、にこぉっとお得意の笑顔を浮かべてる。

それからスタッフさんが呼びに来てくれて

新曲を披露しその日は終了。

望くんとちらちら目を合わせながらいつ鍵を受け取るものかと

うかがっていると

お疲れ様でした〜、とそれぞれが楽屋を出ていく時

彼が私の目の前を通ると同時に手と手が重なって

その瞬間私の手には鍵が握らされていた。

メンバーのみんなは帰る準備をしている人とか、もう既に行っている人もいるおかげでバレることはなく。

ただただ私の顔が不自然に真っ赤だったのを見て残っているメンバーに不思議がられることくらいだった。

触れた手がぶわっと熱くて

彼の香りがまだ鼻に残っていた。









.

36→←34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す