相性最悪 ページ6
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「…………おい、貴様……………」
英雄王の纏う空気が一気に凍った。
「…今の言葉は、我に対してのものか…?」
スッと宝具を展開する英雄王に本格的に言葉を失った。
『………気分を害した様なら、謝罪でもしましょう。』
半歩下がって上体を折るが、視線だけは目の前の王に向けていた。
もし一瞬でも視線を逸らせば、その瞬間確実に脳天を貫かれる。
そんな気がしたのだ。
「………」
しかし、言い換えれば、こちらには謝る気が毛頭ない事も相手によく伝わる。
剣を一本宙に浮かべたまま、英雄王はピクリとも動かなくなった。
((………まずかったのか?………))
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と思ったが
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「……フ、フーッハハハハハハハッ!!!」
『!?』
なんともきれいな高笑い。
「……うむ、やはり殺すのは止めておこう。」
『……は?』
今はっきりと察した。
この英雄王たるギルガメッシュは、人類最古の自由人であると。
そして、もう一つ。
彼と私ではそりが合わないと。
『……そうだ、貴方に一つ言いたいことがある。』
「……ほう?」
金の甲冑が腕を組む時に音を立てる。
『……私は確かに遠坂時臣氏の弟子。でも、貴方はあくまで師のサーヴァント。私が貴方に忠誠を誓う必然性は皆無。』
「……それで?」
『つまり、私は貴方の命令を聞く気はない。文句は言わせない。』
言いたいことをズバリそのまま言うと、ギルガメッシュは目を丸くして私のことを見ていた。
案外驚くことが多いのだな、と他人事のように考える。
「………確かに、貴様の申す事は理に適っておる。よい、よい。多少の放言、とくに赦す。」
今度は私が目を丸くする番だった。
てっきり「無礼者」などと言って戦闘態勢に入るものだと思っていたのだ。
果たしてこの英雄王は懐が深いのか、短気なのか。
『……私、貴方の事がよくわからない……』
「フンッ、貴様如き雑種に我の事が理解できるはずもないわ。」
ギルガメッシュはそのまま奥に設置された黄金の王座に歩み寄り、ハッと息を吐きながら腰かけた。
「……雑種、貴様がこの部屋の管理屋だったな?」
『そう、それがどうかしたの?』
英雄王の姿は、その時とても儚く美しいものに見えた。
性格が合わなくても、やはり美しいと思うものは思うのだ。
「………………興が冷めた。」
『……わけがわからない。』
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時