心象風景 ページ36
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周りを見回すと、何人もの骸の面を被った英霊が立っていた。
ライダーのマスターもあわあわと自らのサーヴァントの元へ駆け寄り、同時にアインツベルンのマスターもセイバーに駆け寄った。
見間違える事は無い、彼らは言峰の使うサーヴァント、アサシンだ。
だがその突然の登場に狼狽えたのはマスター達だけだった。
ライダーは柄杓を掲げ、彼らに語り掛ける。
勿論その言葉に従うものなどおらず、一瞬の斬撃の後酒がライダーの肩にかかった。
アサシンがそれを嘲笑する。
「成程……この酒は貴様らの血と言ったはず。敢えてぶちまけたいと言うのなら…是非も無し。」
ライダーのその言葉と共に、強風が吹き始める。
前髪やら後ろ髪やらが暴れまわり前が見えなくなって、反射的にギルガメッシュに強くしがみついた。
すると意外な事に、ギルガメッシュは腰に回していた手で更に強く引き寄せた。
その距離は普通に抱きしめられているのと変わらない程で、
鼻と鼻がくっ付きそうで。
こんな状況であるにも関わらず、私の頬は赤く染まった。
何度見ても、この男の顔は本当に美しい。
正直このままの距離は毒だった。耐えられない。
と言っても離れようにも風と回された手のせいで逃げ場は無く、
仕方なく私は顔をギルガメッシュの首に埋めた。
「問おう!王とは孤高であるか否や!」
征服王が問う。
「王であるなら…孤高であるしか…無い!」
騎士王が答える。
しかし英雄王は何も答えない。
顔は見えないが、それでもこの男の表情は何となくわかった。
「駄目だな、全くわかっておらん!そんな貴様等には余が、真の王たる姿を見せてやる!」
私はその言葉に、無性に腹が立っていた。
何も知らない癖に、
彼の事など何も知らない癖に、
彼の王道を否定するな。
だがきっと、こんな事を口にでもしたら、私は間違いなくこの男に殺される。
たかが過去を視たくらいでつけあがるな、と。
だから私は口を開かなかった。その代わり顔を強く首に押し付ける。
そしてその瞬間、強い光が私達を覆った。
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何も聞こえない。見えない。
埋めていた顔を上げ、周りを見渡した。
そこは別世界だった。
見渡す限りの砂漠、青空。
当然冬木ではない。
「固有結界…!?心象風景の具現化だなんて…!?」
白髪のマスターが動揺し声を上げる。
固有結界。
魔術の頂点とも言われるその技が、目の前で広がっていた。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時