遠い記憶 ページ30
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わざとでは無かった
わざとやろうと思ってやったのでは無かった
だって、自分でも理解していなかったのだから
突然倒れた父親
悲鳴を上げる母親
腕に走る激痛
何が起こったのか全く分からない
けどそのせいで
私の父親は壊れてしまった
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父親には魔術の素養があった
だが父親はただの人間だった
普通の女性と結婚し、子供を産み、一社長として会社を経営している
そんな普通だった父親は
圧倒的な力の前に崩れ落ちた
何を思ったのかはわからない
私が知っているのは
父親が何か大きなモノに惹かれてしまったという事だけ
いつの日か父親が口にしていた
「聖杯」という言葉
私はそれを得るための道具だと
父親は冬木で名高い魔術師の家系を特定した
今まで普通の世界で生きてきた父親が
一体何をして知ったのかわからないが
それ程までの執着が既に生まれていたのだ
運がいいのか不幸なのか
私の家は裕福だった
母親も父親も元々贅沢をする様な人間では無かったから
お金に困る事は絶対になかった
そしてその余り余る財産を
父親はその魔術師に寄付したのだ
その代わり
私をその家に通わせることを条件にした
場所を与えてやってくれと
魔術師は最初拒んでいた
だが日々の交渉のうちに倍増していく金額に
遂に受け入れた
人間は何故こうも欲深いのだろうか
気がついたころには
私は父親の道具だった
身体を良いように使われ
精神を壊され
今では何も感じない
大好きだった母親も私の元を去っていった
いるのはただ狂気に飲まれた哀れな父親だけ
「真彩、必ず聖杯を手に入れるんだ……時臣氏を援護し、聖杯を勝ち取るんだ……」
頭に響く
耳元で囁かれ続けた
悪魔の言葉
私は時臣氏を支える
そして聖杯を勝ち取る
そのための道具である
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時