執着の理由 ページ28
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遠坂邸に着き、屋根裏に向かう。
ふと、その途中で足が止まった。
私の目の前にある部屋は、ギルガメッシュの眠る部屋だった。
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『……』
頭に過る時臣師の言葉。
聖杯戦争が終わるまで、ギルガメッシュとの接触を禁ずる。
つまり、もう二度と会う事は出来ない。
そう思うと、何故か胸が苦しくなる。
理由はわからない。
恋をしている訳では、無いと思う。
ただ、もう少しの間
あの眩しい姿を目に焼き付けておきたかっただけ。
だが、それは叶わぬ夢だ。
私はゆっくりと踵を返し、その場を去ろうとした。
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「……おい。」
その声を聞いた時、大げさにも肩を震わせてしまった。
振り向くこともできない、だが動く事も出来なかった。
「……そこで何をしている、真彩。」
彼の声には薄っすらと怒りが含まれている様な気がする。
当たり前と言えば当たり前なのだが。
私が彼にした事に対して、私は何も言っていないのだから。
意を決して振り向くと、眉間にしわを寄せ苛つくように指をトントンと鳴らしていた。
滅茶苦茶怒っている。
冷汗が背筋を伝うのを感じながら、喉から声を絞り出す。
『……ギルガメッシュ……、あの……昨日の事だけれど…』
「……」
『……申し訳ありませんでした。』
深々と頭を下げる。
それ程までに、私は本当に後悔をしていたのだ。
その態度に、ギルガメッシュは何の反応も示さない。
嗚呼、当たり前だ。
あの男が私の行為を赦すわけがない。
これで何の未練もなくこの男の元を去れる。
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「……何を謝っている。」
私は思わず顔を上げた。
今、この男は、何と言った?
『…は…?』
「我は"そこで何をしている"と聞いたのだ。」
『……貴方の事を…考えていて……』
正直に話した。
この男に嘘など通じないのはよくわかっている。
『……昨日の…あの…怪我は無い?頭が痛かったりとか…』
「無いぞ。貴様の見事なまでの投げ技のおかげでな。」
『……悪かった……』
どうしよう、いつここから去ろう。
徐々にタイミングを逃していく。
「……いつまで俺に立ち話をさせる。中に入れ。」
その言葉に体が自然に動いた。
嗚呼、駄目だった。
結局私は師の言いつけを守らず、ギルガメッシュの言葉に従って部屋の中に入った。
この男への執着は、
今朝の夢のせいなのか
それはわからない。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時