穂村原学園 ページ18
『……今、何て言った?』
「この我に二度も同じ事を言え、と?」
『…いや、だって……』
さあ、この男は、悪びれる様子もないこの男は、
今
私と共に学校へ行くと言ったのだ。
何故聞き返してはいけないのか。
余計に頭痛が酷くなってきた。
『……ギルガメッシュ、貴方は学校がどういうものか知ってる?』
「ああ、学生とやらが勉学に励む場所であろう?」
『つまり、学校には魔術など知りもしない一般人が大勢いる。そして、私達魔術師の鉄則は、魔術の世界に一般人を関わらせない事…』
「それが何だ。」
眉間に皺を寄せた英雄王が苛立ちを露わに睨みつけてくる。
『だから、貴方が行くと…その…』
「…はっきりと物申さぬか」
『だから、貴方絶対何か学校で仕出かすでしょう!?』
はっきりと物申してしまった。
いや、この男がそうしろと言ったせいで、勢いよく叫んでしまった。
だが、相手の反応は予想を外れた。
ギルガメッシュは怒る事もせず、妙に爽やかな笑みを浮かべた。
「…ほう…言うではないか。要は、我が大人しくするならば貴様はそれを咎めぬというのだな?」
『……』
この瞬間
嗚呼、この英雄王には何を言っても無意味なのだな
と理解した。
・
・
『……』
冷汗が止まらない。
今、ギルガメッシュは私の後ろを歩いている。
勿論霊体化はしているものの、いつ何を仕出かすか知れたものじゃない。
当の本人は、私と同じ服を着た少年少女をまじまじと見ていた。
何とか無事に学校、穂村原学園高校に着く。
一端人目の付かない所で息を整えた。
だがほっとしたのも束の間。
「神崎さん!!」
『!?』
突然呼ばれたせいで、肩が跳ねる。
振り返ると、同じクラスの女子がこちらに手を振っていた。
彼女の名前は、前田皐。
特に仲が良い訳ではないが、彼女はクラスの全員に気を配る社交的な女性だった。
「久しぶり!体調良くなったの?」
『え、ええ…取りあえずは…』
唐突な登場と、共にいる男のせいで、若干声が上ずる。
「良かったぁ…あ、先生に頼まれたものがあったんだった!じゃあまた後で!」
『はい…また後で…』
忙しい人だ、と他人事のように感じる。
「……真彩」
呼びかけてきたのはいつの間にか霊体化を解いたギルガメッシュだった。
珍しく名前で呼ばれた事に少し驚いたが、それよりも
『…ギルガメッシュ?』
彼の目は、遥か遠く、遠くを見つめていた。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時