愛知らぬ者は友となりて

夢 ページ16

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夢を、見た。








広大な大地で、



一人佇む者がいた。








その視線の先には、



古代の遺跡の様な



いや、遺跡があった。







その人物は



若草色の長い髪を靡かせて



ずっと遠くを見つめている。








声を出そうと喉に力を入れれば、



案外簡単に音が出た。









私は問う。



貴方は誰か、と。









その者はこちらに振り返って、



優しく微笑んだ。









その者の顔はどこまでも美しく、だがどこか脆かった。



私は何者でもない、と言う。



長髪が風に揺れる。









何故こんな所で立っている？と私は問う。



待っているのさ、と答える。









何を待っている？と私は問う。



定められた運命の時が来ることを、と答える。









その表情は、期待と不安の入り混じったような



まるで人間の様な顔をしていた。









私は気づいた。



その者は、空なのだと。



まだ何も詰まっていない、器なのだと。









そして、私は彼の願いに気づいた。



いや、本当は違うかもしれないが



私にはそう思えた。









その者は



彼に中身を求めている。



いつかその虚無を



埋めてくれると期待している。









そう



運命が決まっている事を



知っているのだ。









いつかわかる、とその者は言う。



私の望みと、貴方自身の望みを、と微笑む。









わかっている。



これは夢だ。









だからこそ、



少しだけ



その者を信じたとしても、



罪にはならないと



思ってしまった。









淡い夢を見た。









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