ここはもう2人だけの世界 ページ29
『mmkj』 kj side
目を開けるとあたり一面が温かい色で包まれていて、
そこには大好きな恋人が寝ていた。
その世界の中で、寝ている恋人に寄り添うと心音は聞こえないのに温かい。
kj「めめ?…寝てるん?」
返事がない。
ただ目を瞑っているだけなのに、この世のものとは思えないくらい綺麗でずっと見たいたくなる。
その瞬間をフィルムに収めようとカメラを構える。
古びたボロボロのカメラは、かなり年季が入っていてシャッターを切っても切っても撮れない。
もう壊れてしまっているのか。
撮るべきじゃないと警告されているのか。
仕方ないからそっと恋人の手を握ると、左手の薬指には知らないリングが付いていた。ペアのように見えるけど自分の手には同じものが無くて、きっともう別の人のものになってしまったのだと察した。
悲しいのに涙はでない。
なぜがしょうがないなとしか思わなくてそれすらも悲しい。
俺は、穏やかで温かいだけのこの世界で、
目を覚さない誰かのものになってしまった恋人を
ただ見つめるしかなかった。
目が覚める。
途端に頭が割れるように痛む。
なんとなく分かる、これは熱だ。
こーゆう時って体温を測って数字を見てしまうともっと落ち込むから測りたくないんだよなとか、余計なことを冷静に考えながら体を起こす。
喉はカラカラで、とにかく水を飲んだ。
kj「っはぁ…なんで今日に限って」
今日は朝からロケがある日で1日かかる。
でもこんな状態ではダメだことも分かってるからマネージャーに連絡をして大事をとって長めの休みをもらった。
(はぁ…身体…だるい…)
とりあえずベッドに戻る。
天井を見つめて、熱のせいで涙が流れる。
さっきの夢は、なんだったのか。
体調が悪くなる予兆だったのか。
なぜか、もうめめとは会えなくなってしまうような恐怖に襲われて電話をかけるけど、忙しいからなのか珍しく電話には出てもらえなかった。
kj「ふ、ふっかさん…」
無意識にふっかさんに連絡をした。
fk『康二?もしもーし』
kj『あっ…ふっかさん…」
fk『マネージャーから聞いたよ。熱大丈夫?』
kj『んっ、結構…しんどい…』
fk『そっか…どうしよかな。めめには連絡した?』
kj『したけど…電話でえへんくて…』
fk『まじか。とりあえず俺もう少ししたら迎えくるから、家寄るね。欲しいものある?』
kj『薬、ないから…お願い』
fk『分かったよ』
それだけ言うと、重く感じる腕を落とした。
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こるこる - 大好きです!応援してます!! (7月26日 18時) (レス) id: 9197daf582 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:stanley | 作成日時:2023年7月16日 1時