四拾参:記憶ヲ探シテ ページ1
─主人公side─
「………」
目覚めても昨夜猫に言われた言葉が離れなかった。
言葉が心臓に刺さったように心臓の辺りが痛む。
「…もう逃げられないね」
今までずっと逃げてきた。
だけどもう逃げられない。
向き合わなくちゃ。
記憶と。
自分と。
握りしめた手が震える。
本当は嫌だ。
怖くて怖くてたまらない。
「でも…駄目。もう……」
──
「どこに行ったら良いのかな…」
外に記憶を探しに出てみたけれど、
「うーん考えてなかった…」
行く宛もなく適当に歩く。
すると前方に見覚えのある人影が見えた。
えっと確かあの人は……
「藤田警部補…さん?」
「!!お前は……あの時の娘か」
藤田警部補さん。
わたしを助けてくれた人。
声をかけたは良いけど、目がちょっと怖い…
「その後、記憶は戻ったのか」
「え、あ、…少しですが戻りました…」
「……そうか」
?
今少し笑った?
「では早速事情聴取をする。では、娘。お前が視たのはどんな物の怪だ」
「それは……まだ」
「思い出していないのか。」
「すみません」
「まぁいい。…ところでこんな所で何をしている」
「あ、えっと……散歩を少し…」
そうだ!!
わたしが倒れていた場所へ行けば記憶が戻るかも
それに藤田警部補さんならもしかしたらわたしが倒れていた場所を知っているかも…!!
「あ、あの……わたしが倒れていた場所……知りませんか?」
「?お前が倒れていた場所だと?」
ギロリ。
そういう表現が合いそうなくらい睨まれた。
朝とは別の意味で手が震える。
「えっと……其処に行けば記憶が戻るかもしれないと思いまして…」
最後の方は掠れるような声になっていた。
藤田警部補さんは暫くの沈黙の後に付いて来いと呟いて歩き出した。
──
「此処だ」
連れてこられたのは大きな池のある場所。
「お前はこの池の辺で倒れていた。」
「ありがとうございます…」
「何か思い出したら妖邏課の所へ来い」
「…はい。ありがとうございました」
藤田警部補さんが去っていった後その場をぐるりと見渡してみた。
池の周りには沢山緑があってとても落ち着く。
改めて池に向きを変え、そっとのぞき込んでみた。
池の水は青い空とわたしを映していた。
すると水面が揺れた気がした。
((ｽﾞｷｯ
「いっ!!!」
何とも言えない鋭い痛みが頭を駆け抜ける。
耐えきれなくてその場に崩れ落ちた。
「っぁあ!!!」
“嫌だ”
昨日聞こえたわたしの叫び声。
それに映像が重なった─
──
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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (
レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて．．．．もうやばいです。小説上手いですね！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん！とっっても素敵でした！桔梗の花言葉のところとか...大好きです！こんなに素敵な物語、ありがとうございました！！ (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです！！読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月陰†芽々 | 作成日時：2015年5月5日 11時
