《トドメの接吻》 愛は誰にでも

許さない ページ44

美尊「お兄ちゃんはそんなにAちゃんが好きなのに、私と結婚なんかしてもいいの？」



僕がAのそばにいても何もしてあげられない。



並樹グループという肩書でもないとAを救えないんだ。



もちろん僕がやろうとしてることをAがどう思うかなんて分からない。



余計なお世話だって怒られるかもしれない。



それでもいい。



例え嫌われたとしてもAの背負う重荷を少しでも軽くすることができるなら。



尊氏「Aが幸せになれるなら・・・それだけで僕は満足なんだ」



美尊は僕の言葉に何も言わなかった。







「ん・・・？」



尊氏を待っている間にいつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。



私が気が付くとどこかのベッドに横になっていた。



ここはどこだろう。



美尊ちゃんはちゃんと尊氏に迎えに行ってもらえたのか。



尊氏は今どこにいるの？



部屋の窓から見える外は、とても暗かった。






旺太郎Side



病院から家に帰って来ると、家の前で宰子が待っていた。



宰子「ニュース見た」



旺太郎「長谷部を殺したのは俺の親父だよ？」



そう言って宰子の横を通り過ぎて家に入る。



宰子「人を殺すような人には見えなかった！」



俺が振り返ると宰子は部屋に入って来ていた。



宰子「お父さんに・・・会ったことがある」



旺太郎「どこで」



宰子「この、家の前で」



その事実に思わず呆れ笑いが出る。



旺太郎「俺のことを探っていたのか・・・」



宰子「あ、あなたを、心配してるように見えた」



旺太郎「心配？あんなクズに人の心配ができるわけないだろ」



俺はそう言いながらベッドに腰を下ろした。



旺太郎「・・・されたくもねぇよ。逆恨みで殺したのか、それとも例のテープ狙いか知らねぇけど、そんなことはどうでもいい。アイツだけは許さねぇ」



宰子「でも・・・」



旺太郎「アイツはな、俺とお袋を置いて逃げたんだよ。現実から逃げ回ることしかできない、腰抜けなんだよ」



宰子「そうだとしても、あなたの、親なんだし。キスして時間を戻せば止めてあげられる」



旺太郎「バカか！」



宰子の言葉を遮るように怒鳴った。



何でアイツなんかを助けようとすんだよ。



旺太郎「ムショの中でくたばっちまえばいいんだよ！あんなクズ。ちょうどよかったんだよ。死ぬまで足を引っ張られるところだったし、止めたところでまた繰り返すんだよアイツは」

戻る？戻らない？→←出会っていた

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す