《トドメの接吻》 愛は誰にでも

挽回できる ページ26

布袋「目に見える金とか地位にしか興味のないお前に、俺の気持ちは分からないよ」



そう言って席を立ち出て行こうとする布袋を呼び止めるように言葉を掛ける。



エイト「そのテープは本物だったのかな。中身を確かめてから処分したんだろ？」



俺の言葉に布袋は何も答えない。



エイト「確かめてないのか！？もし偽物だったらお前捕まり損だぞ！」



布袋「あの夜、会社で尊氏さんに渡したから、俺が見る必要もない。諦めろ」



そのまま布袋は面会室から出て行った。



俺は一人その場に残る。



エイト「バーカ・・・それさえ分かれば挽回できるんだよ」



俺には“神の力”があるからな。



帰ろうと所内を歩いていると向かいから噂の尊氏が歩いて来た。



尊氏「布袋に会いに来たのか」



エイト「よくもまぁ、あそこまで熱狂的な信者に育て上げましたねぇ」



尊氏は俺に歩み寄った。



尊氏「この際だからはっきり言っておくよ。僕の邪魔をしようとする奴は・・・誰であろうと許さない」



エイト「たとえAさんでも？」



俺の言葉に尊氏は眉を寄せた。



尊氏「君は・・・僕から美尊を奪おうとしてるんだよな。だったらAには関わるな」



エイト「もう呼び捨てになったんですねぇ。お兄さんは、どっちのことが好きなんですか？」



美尊さんと結婚しようとしてるけど尊氏の愛は全く感じない。



むしろAさんといる時の方が空気が柔らかい。



尊氏が好きなのはAさんじゃないのか？



尊氏「・・・君が知る必要はない」



そう言い捨てて尊氏は俺を通り過ぎて行った。





家の手前まで帰って来ると俺の前に宰子が現れた。



宰子「あぁ、あの・・・」



何かを言おうとする宰子を無視して歩みを進める。



俺の家があるビルの部屋に入ると宰子が俺を追い越して部屋の奥に行った。



エイト「誰が入っていいって言ったんだよ！」



すると宰子は振り返ってポケットから取り出したメモ用紙を俺に差し出して来た。



宰子「けっ携帯の番号・・・時間を戻したい時に電話してくれたら、夜中でも、朝でも、お昼でもっいつでも駆け付ける」



エイト「・・・気持ち悪いお前。何のサービスだよ」



そう言ってもまだメモを差し出し続ける。



エイト「俺が償えって言ったからか」



事件の前にキスをする時、俺は言った。



エイト【お前は、光太から命を貰ったんだよ・・・償え】

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