《トドメの接吻》 愛は誰にでも

状況の変わった事情聴取 ページ22

旺太郎は私の後ろに視線を向けた後、また私を見た。



エイト「美尊さん。二人が心配だから先に病院に行ってて。警察と話したら、僕も行くから」



美尊「うん」



その場を離れる私に、ママが付いて来た。







エイトSide



事情聴取がある為、先に美尊さんを病院に行かせた。



エイト「刑事さん。この人が、尊氏さんです」



場を変えて事情聴取を受ける。



刑事「長谷部さんと会う約束をされてたそうですね」



尊氏「僕は、家で仕事の電話に出ていて遅れたんです」



エイト「もう少しで捕まえられたんだけどなぁ」



悔しがるように足を軽めに殴る。



尊氏「君はどうしてここに？」



エイト「お兄さんの方こそ、こんな時間に長谷部と何の用だったんですか？」



俺を怪しむより警察に本当のことを言ったらどうだ。



刑事「差し支えなければ教えていただけますか」



尊氏「進路について、相談を受けていたんです」



エイト「進路！？」



大袈裟に反応する。



よくもそんな嘘が吐けるな。



尊氏は少し引きつった顔で俺を見た。



エイト「何もしないでも親父の会社を貰えるボンボンが、進路相談なんてするかなぁ」



尊氏「そういう悩みがあってもおかしくないだろ」



その言葉に俺は顔を尊氏に寄せた。



エイト「おかしい・・・とは言ってないですけどね」



俺の言葉に尊氏は表情を硬くした。



刑事「では、新橋さんはどうしてあの場に？」



エイト「さぁ・・・」



はぐらかす俺を尊氏が睨み付けて来た。



尊氏「君が呼び出したんじゃないのか？彼女がこんな時間に一人でここに来るとは思えない」



本当にこいつはAさんのことばかりだ。



自分の置かれてる状況をもっと気にしたらどうだ。



鑑識「凶器のラウンディングハンマーに指紋は残っていません」



刑事「すぐ戻ります」



エイト「待ってまーす」



刑事が去ったタイミングで俺は立ち上がった。



尊氏「・・・なぁ・・・犯人の顔は見たのか」



エイト「暗くてよく見えなかったんすよ・・・」



そう言うと尊氏は安心したような顔をした。



それを見て俺が“あっ”と声を出すと一瞬にして眉間に皺を寄せた。



エイト「ただ・・・僕が来なかったら、長谷部は犯人の顔を見ちゃって殺されてたんだろうなぁって思って」



尊氏はそれを聞いて立ち上がる。



尊氏「それは君の憶測だろ」



よく言うよ。



テープを奪う為に何度も長谷部を殺させたくせに。

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