《トドメの接吻》 愛は誰にでも

宰子との再会 ページ11

とりあえずエイトさんの働いていた『NARCISSUS』に宰子さんを知ってる人はいないか聞き込みに行こうと向かっていた時、以前『Night Delivery Service』という店の前でエイトさんと会ったのを思い出した。



エイトさんはあの時あそこで何をしていたのか。



なぜか無駄足だとは思えず、その店に行き先を変えた。



「すみません」



店員「はい、何でしょうか」



「こちらに宰子さんという女性はいらっしゃいますか？」



店員「また宰子さん？あなた達何なんですか」



「え？」



突然“あなた達”と誰か知らない人と一括りにされた。



私はわけが分からず首を傾げる。



店員「いや、前にもいたんですよ。えっと・・・あっ！先日亡くなった堂島旺太郎って男と、殺人未遂で捕まった小山内、和馬？って男の二人組が宰子さんのこと知らないかって聞きに来たんです」



カズマさんとエイトさんが宰子さんのことを？



店員「個人情報漏洩になると思って僕は何も答えてませんけどね」



「お願いします！宰子さんのこと教えて下さい！エイトさん・・・じゃなくて堂島さんの事件に関係があると思うんです！」



店員「事件に関係が？あなた警察の方？」



「・・・いえ。でもどうしても宰子さんに会って聞きたいことがあるんです」



店員「そうは言ってもねぇ・・・あ、宰子さん」



なかなか教えてくれない男の人にだんだんと苛立ちが湧いて来た時、男の人が店に入って来た人を見て動きを止めた。



振り返るとそこにいたのは私が探し求めていた宰子さん。



「宰子さん！」



宰子「・・・あ」



静かに反応した宰子さん。



物静かな人なのか。



宰子「あっあなた、あの時の・・・」



「並樹乗馬倶楽部で会いましたよね」



宰子「私に、何かご用ですか」



「聞きたいことがあるんです。これからお時間ありますか？」



宰子「き、今日はもう、仕事終わりだから大丈夫です」



途切れ途切れに話す宰子さん。



どこか挙動不審のように感じてしまう。



でもきっと宰子さんは人見知りなのかな、と密かに思った。



宰子「少し、待っていて下さい。帰る準備して来ます」



宰子さんが店の奥に行く様子を黙って見送る。



その数分後、宰子さんは“お待たせしました”と言って私の元に戻って来た。



「じゃあ、どこで話しましょうか」



宰子「あ、あなたの聞きたいことは何となく分かります。だから、家で話しませんか」



「宰子さんのお家で？」

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