それは、タカラモノ 〜第四章 最愛〜

side Ki ページ20

『っ・・・・』


あの日、同じように、強制的に与えられて、迫ってくる・・吐精感
目の前がチカチカして、背筋に電流が走る


違うのに・・

違う、のに
目の前の、愛しい人との、行為に


アイツを思い出すなんて



「ふ・・ふじがや・・・・」

「・・・」

「ふ、じがや・・・ま、まって」


俺が漏らした、情けない声に、俺の身体にキスを繰り返していたその顔を離した


「きたやま・・？」

「や・・だ・・」


違うのに、違うのに・・・

『い、やだ・・・』

あの日の、ただ、屈辱と、恐怖に支配されていた自分が・・
重なる


「北山・・？」

「あぁ・・・ふ、う・・うぅ・・」

「どうした？北山・・？」



不意に、藤ヶ谷が、俺に触れていた手を離して、優しく頭に触れた



「ふじが・・・やぁ・・」



ぎゅっと、その首筋に抱き着く


「ごめ・・・ごめ、んっ・・・・」

「北山・・・・？」


語り掛けるように、優しく問う藤ヶ谷が、俺の背中を擦る



「藤ヶ谷の事・・好き、なのに・・・怖い・・」


そう呟くと、藤ヶ谷が目を見開いたのがわかった


「ごめん、俺・・・」

「違うっ！！藤ヶ谷の・・ことを怖いわけじゃ…ない」

「でも」

「違うっ！！ただ・・」


ぎゅうッと、藤ヶ谷の首に回した腕をさらに絡めた

「イくの・・・怖い・・一人じゃ‥ヤダ・・・」

「きたやま・・」

「ね、俺のナカ、きて・・・」

「そんなことっ・・・もう、やめよう・・」

「大丈夫・・・俺の事、見てて・・怖くないように」



もうやめよう、という藤ヶ谷を、離すまいと、強く抱きしめた

「北山・・俺、お前に無理させてまで・・シたくないよ」

「無理してないからっ・・・」

「だって・・・北山、泣いてる・・」



藤ヶ谷が、俺の頬に残った涙の痕を、優しく指先で拭ってくれた



「セックスだけがすべてじゃない。身体を重ねなくても・・・俺は北山が好きだよ」

「っ・・・」

「だから、今日はもうやめよ・・」

宥めるように、そういう藤ヶ谷は、きっと誰より、何より俺を大切にしてくれて、
だからこそ、もうやめようなんて、

そう言ってくれているのは、痛いほどにわかっていた





「っ・・・」



だけど


違うんだよっ・・・




向かい合っていた、藤ヶ谷との距離を少し開けて、
外れかかっていた藤ヶ谷のベルトのバックルに手をかけて、一気にずり下げた

「っ・・！」

「ン・・」

そのまま、ゆるく勃ち上がっていた藤ヶ谷自身を取り出すと、迷いなく、咥えた

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