side Y ページ49
「ねぇ、ワタ」
リンゴを向いてやると、不意に太輔が、神妙な面持ちでこちらを向いた
切れ長の目元が、不安げに揺れる
「ん」
「なんで‥北山は毎日俺のところに来るのかな」
「えっ・・・嬉しくない?」
「嬉しいけど・・」
その目は何かを悩んでいるようだった
伏せられた視線の先を覗き込むと、少しだけ潤んでるようにも見えた
「ねぇ、俺達って、そんなに仲良かった?毎日どんな時も見舞いに来て・・他愛ない話をするほど。だって、どんなに、忙しくても絶対に毎日顔を見せに来るんだ・・」
「太輔・・」
「それに、なんか辛そうで」
「え・・」
「俺といるときの北山・・辛そうで・・俺・・もしかして北山になんかした?」
その、不安そうに揺れた太輔の目に、どう答えてやるのが正解なのか、俺にはわからなかった
記憶を失った太輔は、それでも何かを感じているのだろうか
「今のままで・・いいんじゃない?」
結局当たり障りのない答えしか返せないふがいない俺
ミツが、太輔には「あの事」を話してほしくないといった以上、俺の口から説明するわけにはいかない
「ごめん・・仕事あるからそろそろ行くね」
「ん、気をつけて」
結局、うまくごまかして、自分も、太輔にも嘘をついた
俺は、また逃げた…
『俺…藤ヶ谷のこと、本気だから』
あの日のミツのように、強い眼差しで、俺は太輔に、向き合えるのだろうか…
「横尾さん・・ちょっといいかな」
もやもやした気持ちを引きずったまま、現場に着くと、宮田が声をかけてきた
「二人でのラジオ収録・・今日になるまで待ってた・・」
宮田の真剣な顔を見て、きっといい話ではないのかもしれないなと、俺の直感がそういった
「キタミツのことなんだけど・・」
「え・・」
「この間、玉が遊びに行ったみたいなんだけどさ」
続くその言葉に、俺の指先が震えた
『キタミツ・・あの事を思い出して今でもうなされてるんだ・・がやさんの名前呼んで・・』
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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時