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人生で、こんなに急いで走ったことはもうないんじゃないかというくらい、俺は全力で、その病室を目指して駆け上がった
病院では静かに
そんなことわかっているけれど、俺の気持ちは、どうしようもなく焦っていた
流れる汗が風を切って落ちていく
「キタミツ!!!」
勢いよくドアを開けると、そこにはベッドの上で起き上がっている、
見慣れたキタミツの顔があった
「あー、お前、なんだよ、その顔」
「あ・・あ、」
けらけらと笑う、その顔は
いつものキタミツのようで、
「うわ、きたみつー!!!」
俺は膝から力が抜け落ちていくのがわかった
「あ・・よかった・・よかったよー・・・」
「泣くなよ、お前、顔やべぇって、鼻水つけんな」
横尾さんから、キタミツの意識が戻ったと病院から連絡を受けたといわれ、事務所にいる三人より、ピンの仕事で距離が近かった俺は、大急ぎでここへ駆けつけた
「ミツっ!!」
騒がしい音と共に、ニカを先頭に、千ちゃんと横尾さんが入ってきた
「わーああ、ミツ、ミツ!!」
ぐちゃちゃの顔でキタミツに抱きつくニカを見ながら、俺は胸の中が温かくなった
「ごめんな・・」
そう優しく言ったキタミツは、ニカと、その横でなく千ちゃんの肩にポンポンと手を当てていて、いつものしっかりもののお兄ちゃんの顔になっていて、それをそっと見守る横尾さんと目を合わせて、同じように笑った
泣きじゃくる千ちゃんと、玉の背中をポンと押してやると、中に続いてキタミツに駆け寄っていった
そんな光景を、もうしばらく見ていなかった気がして
俺はまた泣きそうになった
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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時