意地っ張りな君へ

side Ki ページ23

さすがに、大倉との仲を疑われたと本人には言い出せず、些細なことからケンカになった、とだけ伝え、それ以外は、今日俺の私物が突き返されたことを含めて、すべて伝えた

『マネ経由で私物がかえってくるんかい・・確かにへこむわな』

「だろ・・もう、別れようって言われたも同然だよな・・」

『いや、藤ヶ谷が怒っとるだけで、そこまでではないかもしれへんで？！いいからとりあえず会ってちゃんと話を』

「だから、その会う時間すらとれねーほどアイツが忙しいんだよ」

『ほな、電話できちんと確認を』

「無理！俺、アイツに面と向かって、別れたいって言われたら・・」

『・・・きたやま？』



藤ヶ谷に、直接別れたいなんて言われたら、きっと俺は立ちなおれない

これから、キスマイとしてやっていく仕事もごまんとあるのに・・きっと俺は今までのようにアイツと向き合えなくなる
それくらい・・藤ヶ谷に溺れてしまったんだ


「俺・・軽率だったかも。メンバーと付き合うって、別れたときのこと考えたら、リスク、デカかったな・・」

『お前、いまさら何言うとるねん！それ含めても、むっちゃ好きやったんやないんかい！！』

「そうだよっ！そうだよ・・なのに・・」



生半可な気持ちじゃなかった

本当に、藤ヶ谷のことが好きで、メンバーとしてじゃなくて、もっと一緒に居たい、知りたいと思った
リスクがあるのもわかっていた

それでも我慢できないくらい好きで・・だから、アイツと同じ気持ちだと思ったとき、別れるなんて微塵も思わなかった
そんな想像できなかった


「とりあえず・・明日藤ヶ谷の家言って、残りの私物回収してくるよ・・」

『北山、お前それでいいんか？藤ヶ谷に、ちゃんと今俺に言ったようなこと伝えてへんのちゃう？』

「だけど・・」

『このままで、お前は満足なん？』




怖い

藤ヶ谷に、拒絶されたらと思うと、怖いんだ

アイツに、もう好きじゃないって言われるくらいなら・・自分から身を引いたほうがマシだ



止まらない時間は、二人がすれ違ってしまった事実を、ただ残酷に突き付けて寂しくさせるだけで
俺たち二人の距離を埋めてくれはしない


アイツがいないと、俺はこんなにも


弱い

作者の独り言→←side Ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す