7flavor of kiss

Ki 2 ページ42

「はーい、お二人お願いしまーす！！」


スタッフの声に、ドキドキする気持ちをと抑えながら、レンズの前へ向かった

「じゃあ、藤ヶ谷さん座っていただいて、北山さんはこちらで…」

「はい」


決められた、ポージングを順番にこなして、シャッターが切られていく
いつもどおり、爽やかなアイドルスマイルを向ける


「あ、じゃあちょっと、北山さん藤ヶ谷さんのほうに倒れてもらって」

「あ、はい」


密着度が上がって、それに呼応するように、俺の心拍も上がる

藤ヶ谷にもたれかかるように、肘をつくと、その香りがふわっと広がった


「っ？！」

襟足に、ふっと、藤ヶ谷が触れた

「きれいに染まったね」


俺の、髪を梳きながら、藤ヶ谷が俺を見下ろす
撮影のために、雑誌の雰囲気に合わせて、今日だけスプレーで染めた黒髪

ところどころ透けている金髪を確かめるように、藤ヶ谷が指で髪を撫でた

擦り合わせる指の動きが、なんとなく…
妄想を掻き立てる

何考えてんだ、俺！


「あ、いいね、そのまま」

カメラマンさんの声で、ふと意識が戻ってくる


意識、しすぎだろ、俺…

恥ずかしくなったと、同時に、少し上にいる藤ヶ谷を見上げると、
悪戯っぽく、笑った


「じゃあ、ちょっと二人絡んでみて」

「か、絡む？！」



絡む、カラム、からむ？！

悪ノリしたカメラマンさんの支持に、俺は藤ヶ谷に、助けを求めるように下から見上げた


「こっち見ろよ…」

低く、呟いた藤ヶ谷が、俺を見下ろした


コイツ、無駄に色気振りまきすぎだよっ…

藤ヶ谷から発せられる、雰囲気に飲まれそうになりながら、近づいた二人の距離を噛みしめる

藤ヶ谷が、そっと頬に手を添えた

え？

え？！

ええええ？！


藤ヶ谷の行動に、目を見開くと、藤ヶ谷の形のいい唇がフッと近づいてきた

「このくらい？」

唇を寄せて、藤ヶ谷が、挑発するようにカメラのほうに視線を合わせた

「あー、いいね、北山くん視線外して」



拷問かっ…

吐息すら感じられる、距離で藤ヶ谷が俺の上にいる

ありえない
ありえな過ぎて、頭がくらくらする


「藤ヶ谷っ…ちかっい…」

「あ？」

「か、顔！ちかすぎ…」

「近づけてんだろ…」

「あ、あの…」

「うるせーな、その口、塞ぐぞ」



は、は…？！

身体から、火が出る
熱くなる、頬がバレないように、少しだけ俯向いた

有無を言わせない、藤ヶ谷の表情に、思わず押黙ってしまった

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