7flavor of kiss

F 9 ページ39

宙をさまよっていた手を、柔らかい北山の髪に添えさせた

ゆるゆると、頭を撫でると、頬を生暖かい水滴が伝っていく


「じゃ・・俺も、酒飲んだか、ら・・・」


全部、この夜のせいにして


「人工呼吸なら・・キスにならないから」



もう一回


シて






北山の小さな頭を抱きしめて、呟くと、
噛みつくように、唇を奪われた



「んっ・・あ・・」

「は・・、ん・・」


どちらからともなく、貪るように、貪欲に互いに、求めあう

生暖かい口内は、アルコールの味と、伝う涙が、しょっぱく感じた
口端から、どちらのモノかわからない銀糸が垂れて、絡めあった指先を、あの頃の様に


繋いだ




「あ、きたや・・、」

「もう、しゃべんな」




乱暴に、着ていたシャツのボタンが、弾ける音がした
キツク、胸元に吸い付く唇が

あの日の熱を思い出す
俺のナカで、果てた熱を、鮮明に呼び起こす


この夜を、止めてほしい



「愛してる・・愛してるよ」

「ウソ、だから」

「わかってるよ、俺も・・好き・・・嘘だよ」



互いに、偽りの言葉で愛をささやいた

その言葉が、呪文のように俺たちを縛る


互いに求めあう熱を絡ませて
涙は、見ないふりをした



「あっ・・ん・・ヤ、ダ・・」

「藤ヶ谷、変わってねーのな・・感じるトコ」


俺の首筋を舌で舐めとって、口角を上げた
ぶっきら棒に言った北山が、つッと指先で俺の胸元を撫でた

その手が、シャツのボタンを一つ外した



「お前なんか・・嫌いだよっ・・・」




嫌いだ

こんな風に、俺を縛り付けるくせに

偽りの愛で、俺を求める


「いっただろ・・明日になったら、全部なかったことになる」



そういった北山が、俺の耳朶を噛んだ
背筋に走る、快感


「ンンッ・・！」

「愛してるよ・・ずっと・・」





偽りの愛してるは、麻薬だ



「俺の事、思い出せよ・・・」


そう呟いて、俺の身体にきつく吸い付いた北山の言葉は、簡単に俺を溺れさせるから



偽りでもいい


今だけ、愛してると言ってほしい





END

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以上、リクエスト作品人工呼吸からのキスでしたが、いかがでしたでしょうか

今回は、切なさマックスでしたが、続編を描きたいような、ここで終わるからいいような…

感想大歓迎です


愛を求め、苦しいキスを、君に





続編始まりました

愛なんていらない(ボードよりお越しください)

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