7flavor of kiss

F 4 ページ34

背中合わせを理由に、北山を突き放して、
自分の心を守った

そうしないと、自分が壊れそうで

目線も合わせず、いい距離間、をいいわけに、アイツとの接触を避けた

スタッフですら俺たちに気を使い、不仲説なんてものが出回っていることも知っていた




それでも、北山はあくまで、俺に笑顔を向けてきて

逆にそれが、俺の神経を逆撫でした


「藤北」の枠組みも、俺をイラつかせた

７人でいるために、キスマイのために、捨てたはずのアイツを
またビジネスの枠組みでも、もとめられたくなくて、７人の俺たちを見てもらえないなら
アイツを、諦めた意味はないんじゃないかって






「いや〜ここまで、いろいろあったけど、思い出すと、本当に感慨深いよなぁ」


北山が、グラスを片手に、笑顔でメンバーを見た
そのまなざしが、俺に向けられることはもう、ない



「迷ったこともあったけど、ここまで来たいろんなモンが、間違いじゃなかったよなって・・」





ズキンっ

ズキンっ・・



わかってる

北山は間違いじゃ、ない・・


俺を捨てた、お前は正しいよ




「Jrの頃は、結構方向性勘違いして彷徨ってたよな〜」


宮田が、いつものように、柔らかく目じりを下げた


「まー、あの頃は、もう封印してーわ。ハハハっ！」





『あの頃』のような金髪で、あの頃より少しだけ、年を重ねたアイツの笑顔が視界の隅で歪む

あの事のことなんて、もうこれっぽっちも未練がないというようなそぶりで、金髪のアイツは笑って見せた





ズキン・・




なぁ、あの言葉は、嘘だったのかな


俺の長い前髪を梳いて

キスするときに、鼻先に触れるそれが、くすぐったくて邪魔くせーって、北山が呟いたから


「じゃぁ切る？」っていったら、




「その髪をかき分けてキスするのが好きだ」


って、悪戯っぽくそういったこと



役で、前髪をバッサリ切ったときに、一番名残惜しそうに、


「もうあの前髪に触れられない」


って、切りたての短い前髪に触れながら、目を伏せていたこと



長かった襟足を、指に絡めて、

「抱いていい？」

って、熱く、キスされた夜の事









「あれ・・太輔・・？」



気づけば、視界が霞んで歪む
渉がこちらを見ているのに気づく


わかってる・・これでよかったんだよ



「ごめん・・俺、ちょっと・・飲み過ぎたわ」

「え、太輔？！」



渉の声を背中に受けて、にぎわう個室を飛び出した

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