7flavor of kiss

F 8 ページ24

「おい！俺、あれ食いたい！！原始人が持ってる肉みたいなやつ！」



夢の国の軽快な音楽と雰囲気にすっかり気分を良くしていた俺の隣で、気まずそうな北山の様子をチラ見しながら、
やっぱり無理させてしまったのかと、少し不安になっていた矢先だった


ミニーの耳をつけて、一層愛らしくなった北山が、子供の様にキラキラした目でフードのワゴンを見つめていた


「あー、あれ旨いよね」




二人分の飲み物と、北山ご所望のターキーレッグを買って渡すと、それに齧り付きながら、

うん！うまい！と屈託なく笑って見せる

その笑顔が、決して俺でなく、食べ物のおかげでむけられていると分かっていても、頬が緩む

その笑顔が、俺の心をくすぐる
もう少しだけ、近くで見ていたい



「お前、食わねぇの？」


頬に肉を詰め込みながら、北山のクリっとした目が俺を見つめた


「やー、一本だと多いから」

「お前、女子かよ！旨いよ！？」


知ってるよ

そう思いながら、北山の持っていたチキンの一角を軽くかじり取った
あ、北山の味…なんてしないよな


「ん」


「っ///」



濃厚なチキンを味わっていると、北山が急に耳を赤く染めた

ん？なに、その可愛い反応は

チキンじゃ足りない、可愛すぎると、お前のこと、食べちゃうよ？

なんて、ね

上目づかいで俺をちらりと伺うように見ると、無言で目線を逸らして、
また黙々とチキンを咀嚼する



「ね、あーいうの、平気？」


山のてっぺんから落ちるボートを指さして、北山の顔を覗き込む


「・・お前、俺の事舐めてんの？」


あ、やっちゃった
北山の負けず嫌いに火をつけてしまったようだ

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