7flavor of kiss

Ki 7 ページ12

「っ・・・」


わかってる、いい迷惑だよな
体調崩して、迷惑かけないようにってごまかしてても、結局こうやって藤ヶ谷に気を使わせてしまっている

マジで情けねぇ


「ごめん・・すぐ治して、迷惑かけないように・・するから・・」


体調不良の上に泣くとか、マジでお荷物だ

案の定、目の前の藤ヶ谷は唇を尖らせたまま無言だった

また、めんどくさい奴って思われた
これ以上、失望されたくない

意志とは無関係に勝手に流れ落ちてくる涙を乱暴に手の甲で目元をぬぐうと、不意にその手を掴まれた




「ちょっと、意味わかんないんだけど」


掴まれた手首ごと、ぐっと引き寄せられる

手首ごと引き寄せられて、藤ヶ谷との距離が一層近くなる

真っ直ぐに通った鼻筋と切れ長の目元
端正な顔立ちがすぐそばにあって、思わず目を反らした
それでも、藤ヶ谷は、黙って俺を見下ろしたままで、その状況に耐えきれず先に口を開く


「お前…帰れよ、風邪うつる…」

俺の言葉を、ただ黙って考えるように聞いていた藤ヶ谷をちらりと見上げる


「迷惑かけて悪かったよ…早く治すし、仕事には支障ださないようにする、から…」

「北山、なにいってんの？」


藤ヶ谷に掴まれたままの手首が、熱い


「だって、藤ヶ谷怒ってんじゃん…」

「怒ってないよ」

「怒ってるよ！表情険しいしっ、それにっ…！」


口をついてから、咄嗟に押し黙った

わざわざ色々と買って、戻って来てくれたコイツに、こんなこと言うなんて、俺マジで最低だ…

「ごめん…」

「北山？」

「本当に最悪だわ…俺…」

引っ込めはずの涙がまた出そうになる
また、めんどくさい奴になっちまう



「これ以上…嫌われたくない」




口から出た言葉は、想像以上に情けなかった

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