4話 ページ5
りゅうのあなから出て久々の太陽を浴びると、ギャラドスから陸上に飛び移った。
『ありがとうギャラドス、なんやかんやで貴方と一緒にいた時間が多かったわね』
唯一持っていたカバンからノートとペンを取り出してメモをしながらギャラドスに言えば、そうだな…と返されては水をかけられそうになった。
おいおい…紙を持つ人間に水をかけたら怒られるぞ。それと電子機器を持った人もそうだな。
『じゃあまたね
りゅうのあなにやってくる修行者をいじめないようにね』
手を振りながらそう言えば背中を見せながらも尾ひれだけ振ってりゅうのあなに戻って行ったギャラドス。
そろそろ家に帰らないと…今日帰ることを事前に連絡しちゃったからね
『…ん?あっニョロモとニョロトノだ!』
ニョロトノを先頭に複数匹のニョロモが並んで行進しているのを観察してメモしていると、私の後ろから何かが近づく影が見えた。
なんだと思い首を回して頭だけをそちらに向けると、顔を引き攣らせた。
『あっ…お勤めご苦労様です
ワタル兄様』
ワ「俺はポケモンポリスでは無いぞ」
呆れたようにため息をついて私の手をとる兄様は力強く逞しくなった腕で私を持ち上げた。
えっなんで?
『兄様!私は歩けます!』
ワ「お前の事だからどうせ多く寄り道をして家に着くのは夜中とかになるだろ…だったら俺が背負って連れて行く方が良い」
ご最もである
久しぶりの外はあまりにも眩しいうえにりゅうのあなには生息しないポケモンがいたからつい観察してしまった。
帰り道にポケモンを見つけては観察するなんてことを繰り返したら兄様の言う通り帰るのが夜中になってしまう。
ここは…大人しく背負われるとしますか
『兄様…私は兄様のようなドラゴン使いになれますか?』
ワ「…お前次第だな
俺はポケモン博士のような知識や観点を持たない…だけどAは違う。
お前は博士程の知識を持ったドラゴン使いだってなれる。」
不思議な感覚になった
まさか私の異常な程に狂ったポケモン観察をポジティブに捉えてくれる人がいるなんて思わなかったから。
類は友を呼ぶし、ある程度なら理解は出来るのか…それに兄だし
『ふふ…兄様も私と同じようにポケモンバカだから褒めてくださるのですね。』
ワ「そうかもな…。」
お互いにくすくすと笑いあって帰る道はとても楽しくて家に着くのがあっという間に感じた。
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時