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33話 ページ34

夜は皆が寝静まる時

そんな概念は今日のシュートスタジアムには関係ない

溢れる熱気とはち切れんばかりの歓声は選手達を迎え入れていた。


『(ポケモンワールドチャンピオンシップスの決勝…結果は見えているとはいえ辛い)』


私は転生者、ゲームはもちろんアニポケだって全シリーズ見てきた猛者なんだ。

この決勝戦の結果だってわかってる

でも今の私はモニターに移るワタルの妹

兄が勝利する姿を見たいと願ってしまう生き物なのである。

だから意味無く手を合わせて祈ってしまうのだ。


『(勝利の女神様…兄様の方を見て微笑んでくれたら私貴方にお供え物毎日捧げます。)』


くっそふざけた頼み方である

そりゃあ激戦を制したのは兄様ではなくチャンピオンダンデだろうな。

あの赤いギャラドスのダイマックスも感動したけど、やはりキョダイマックスしたリザードンも興味深い。


『ふふっ…やはりガラル地方もまた面白いな』


フードを深く被ってニタニタと笑う私の姿は傍から見れば魔女そのもの

どっかの子供が指さして魔女だと言うのもうなずける。






ワ「…A」




ハッとして顔をあげる

そこに居たのは真顔なのに悔しいですオーラが見えるワタル兄様

余程悔しかったんだろうな


『兄様…そのようなお顔をなさらないでください。

そんな顔されては私、腹が立ちます。』


兄様は知ってるだろうが私は優しくないのだ。

負けたところでうじうじと後まで悔しがるのは弱者のやること

兄様は強い、強いのなら悔しいと感じる時間はちょっとにしてまた高みを目指して貰いたい。

そうして私は今まで声をかけてきた

兄様はクスリと笑ってお前らしいと言って頭を撫でると小さな声でありがとうと言ってきた。


ワ「こんなことしても負けた事実は変わらない…今日はゆっくり休んで明日からガラル観光するとしよう。」

『…!

はい、兄様!』


兄様はちゃんと約束を守ってくれる

優しくて強くて憧れの存在は決してちょっとやそっとの事ではくすまない。


『では兄様、色んな街に行きましょう!

エンジンシティの蒸気機関を見てみたいですし、バウタウンの水産物を堪能したりしたいです!』

ワ「わかったわかった…明日は寝坊出来ないな。」


困り眉なのに笑っている兄様を見ると私も笑がこぼれる

こんな時間が続くことがどれ程幸せで奇跡と呼べるのか…私は痛いほどわかるのだ。

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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時

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