31話 ページ32
シュートシティが近づいて兄様との待ち合わせ場所に行けば既に兄様が待っていた。
嬉しくなってまだ滑空中のリザードンの背中から飛び降りて、空中横ひねりなんかも入れながら華麗な着地をすると兄様に挨拶をした。
そしたらフードを外そうとしたからちょっと怒っちゃったよ
全く…メディアに顔出しNGなんだからやめて欲しいよね
なんてことしたら兄様がフリーズした。
『…兄様?早く行きましょう。対戦相手のチャンピオンダンデも連れて来たので』
思い出すようにクルリと方向を変えてリザードンの元へ戻ろうとすれば、私は一瞬目を見開いた。
皆が物珍しそうにリザードンを見て、勝手に写真を撮るその姿が腹立たしい。
見えないの?リザードンが困惑しているのが…気が動転して今にも暴れそうなところが。
メガシンカは不思議な力がある。強力な分それなりの代償があって最悪の場合自我を失うというとんでもない代償
唸り声をあげて天高く青い炎を噴き上げるリザードンの目はさらに真っ赤になって血の色を連想させた。
周りの人々はその時ようやくどんな状況なのかを理解し離れた。
その時、リザードンの目に泊まったのはポケモンの帽子を被った子供だった。
まずい…考えているよりも先に体が動いて走り出した。
誰かが子供の危険に叫び声をあげた。
誰かが自分のポケモンを呼び出そうとした。
リザードンは大きく口を開けて牙を見せつけた。
誰かがリザードンを悪いポケモンと罵った
『……ごめんなさいリザードン、私がいなくなったから探そうとしたのでしょう?』
服を貫き皮膚に突き刺さる尖った牙
力強いリザードンの押しに負けないようにその場から動かないようにこちらも力を入れると、噛まれた腕とは反対の手を彼女の首筋に当てた。
優しく呼吸に合わせてゆっくりと撫でて心を落ち着かせると、次第に大きく広げた羽と真っ赤な目を閉じて元の姿に戻った。
周りがザワザワと五月蝿い筈なのに私とリザードンだけの空間になるととても静かに感じる。
さてと…ここは私がお説教をしますかね
『あなた達…ポケモンをなんだと思ってるの?』
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時