19話 ページ20
ガラルでの修行期間はあっという間に過ぎた。
荷物をまとめて帰る頃には土産物でスーツケースがパンパンになってたので先に航空便で送った。
ワ「今日までお世話になりました。」
綺麗にお辞儀をして挨拶をしている兄様を見て私も挨拶をしていると、どこからか私を呼ぶ声が聞こえた。
なんだと思えばそこに居たのは仁王立ちをしてこちらを睨む少年キバナだった。
キ「今日帰るなんて聞いてない!」
『いや…ワタル兄様の付き添いできた私ですから帰る日も一緒なのは明確でしょう。』
確かに…と呟くキバナだったが、すぐに首をブンブンと横に振って私を指さしてきた。
キ「じゃあ別れる前に俺と勝負しろ!」
『いや無理』
ここは即答である
まさかの返答に驚きを隠せないでいる彼だが、当然でしょ。
だって私ポケモン持ってないもん
『トレーナーの資格は持っていますがポケモンは持っていないんですよ。』
笑ってそう言えば、なにか良い手はないかと腕を組んで考えているキバナ
すると思いついたのはキバナではなく兄様だった。
ワ「では俺の育成中のポケモンを使うか?」
そうやって簡単にポケモンをレンタルするんじゃないよ兄様…。
バッと兄様の方を向いて正気なのかと顔で訴えていると、モンスターボールを半ば強引に渡してきて困惑した。
まずどんなポケモンなのかすらわからないんだけど…。
溜息をつきながらボールを出して驚いた。
『モノズ…?』
長い前髪で前が見えないどっかのアーティストみたいな風貌のポケモン…粗暴ポケモンのモノズだった。
確かコイツって目が悪いから代わりに体当たりや噛み付きでものを把握するんだよね…見事な粗暴っぷりである。
にしてもモノズを育成するとか兄様もなかなかやるなぁ…先を見据えてるからこそのモノズか。
『えっと…力を貸してくれない?モノズ』
しゃがんで出来るだけ体勢を低くしてゆっくり慎重に手を差し出すと、予想通り噛み付かれた。
痛いなぁ…でもこれがモノズの習性だから理解出来る。
後ろでワタワタしてる兄様に手を出すなと低い声で言うと、私は空いてる手でモノズの頭を撫でた。
『びっくりさせてごめんね
私はA…君と一緒にバトルしたいんだ。』
人間の言葉で優しく話しかけると、私の気持ちに気づいたのかこちらをついて噛み付くのをやめた。
私の匂い、声を覚えて噛んだ手を舐めると一声鳴いた。
〈バトル…やる〉
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時