17話 ページ18
長い廊下を歩いてとある部屋の前に立つと、ポケットに入った鍵を取り出して扉の鍵穴に差し込む。
『どうぞ、今朝のうちに掃除はしといたけど荷物の整理が追いつかなくて少し散らかっていますので足元に気をつけてください。』
私とワタル兄様に与えられた部屋は2LDKの立派な部屋だった。
わざわざ兄妹が別の部屋を与えられるなんて思わなかったけど、兄様の力や故郷のフスベシティにいる長老達が築いてきた信頼関係が今を作っているのを考えるとこうなってしまうのだと理解してしまう。
『今お茶を用意しますのでお待ちください』
キ「あっ…ありがとう」
部屋に入った瞬間緊張しているキバナを見て不思議に思ったけど、気にせずにキッチンから緑茶とお菓子を出しているとあることを思い出した。
『そうだ…何故私の名前を知っていたのですか?
毎日夕方になるまで図書館にこもっていると知っていたみたいですが…一体誰から情報を貰ったのですか?』
圧をかけて聞けば、少し顔を引き攣らせながら正直に答えた。
どうやら関係者が教えてくれたらしい…と言っても名前といつもどこにいるかを聞いただけで私が何者であるかまでは聞いてないみたい。
それにしても本人に名前を聞くのではなく関係者から聞き出すとかどうなんだよ…。
『相手に自己紹介をさせないなんてどうかしてますよ』
キ「悪かったよ…でもいつまで経っても教えてくれなかったじゃないか!」
それはご最も…だけど人間関係はあまり築きたくないんだよね。特に今後有名になる人とかは
あんた将来は女子をキャーキャー言わせる程の顔面600族に進化するんだから特に関わりたくない奴なんだよ!
『…言ってるじゃないですか
私は昔から人間とポケモン両方の言葉が理解出来るから沢山悩んだと…自ら頭が痛くなるような問題を増やしたくないのです。』
本心を言って少し冷めたお茶を差し出すと向き合うように椅子に座って私も茶を飲んだ。
静寂が続くこの空間が気まずいと感じ始めたのか、キバナはチラチラとこちらを見てきた。
目で訴えてこないでよ…
『…食事の準備をしますのでお待ちください
部屋内は散策しても宜しいですが、物色はやめてくださいね』
冗談混じりに言えば焦ってやらないと言ってる少年が可愛くてクスクスと笑う。
今日はなんの料理を作ろうかね
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時