15話 ページ16
ガラル滞在期間中のルーティーンはジョウトにいた時とそんなに変わらない
朝早くに起きて朝食の準備をしたら兄様と食べてついでにお弁当を渡す。
そこからは別行動で、私はずっと図書館にこもって本を読み続ける。
キバナが来たらこっそり隠れていなくなったら再び本を読み始めるのだ。
あれ以降ワイルドエリアには行ってない。意外と兄様や関係者のガードが固くて行けないと言った方が正しいのだが。
そんな時に遊びに来るのはガラル地方ならどこにでも居るココガラだ。
決まって陽の当たる窓辺で本を読んでいると、窓をつついて会いに来るのだ。
『こんなところに来たところで腹は満たされないわよ。』
そう言いながらも細かく砕いたきのみを持ってくる私は優しいだろう…だからココガラが来るのだ。
〈きのみが貰えるのもそうだけど、やっぱりオイラ達と話せる人間がいることが面白いんだよ。〉
可愛らしい声で楽しそうに笑うココガラに対して、私は全然楽しくなさそうに頬杖をついてココガラを見る。
〈しかしお前って人間とは話さないのな〜オイラ達ばっかりに気をとられて人間との関わりが無くなるのは良くないんじゃないか?
一応お前人間だし。〉
『…ポケモンと人間どちらとも交流を続けていこうとすると頭が痛くなるのよ
普通の人よりも倍の数言葉が理解出来るとね…』
私はこの世界に転生した意味を理解出来ずにいる。
前世の私に関する情報は何も思い出せない。ただポケモンに関する情報だけが前世の記憶を繋ぎ止めてくれているのだ。
〈まあお前もいずれはふるさとに帰るんだろ?またなは言えないが今まで楽しかった!〉
『いやまだあと2週間はここにいるから』
このココガラは気が早いよ
ガチャ…と扉が開く音が聞こえて私は慌てて窓を閉めた。
そして軽いフットワークを活かして本棚に隠れて図書館に入ってきた人物を確認すると、やはりキバナだった。
あいつもココガラと同様毎日飽きずに私の元へ来ようとする…ポケモンはともかく人間との関わりは出来るだけ遮断したい言ってんじゃん。
キ「今日こそはお前を見つけてやる…。毎日夕方になるまでこの図書館にいるのはわかってるんだ。
お前と話したいことがあるから姿を現してくれ、“A”」
なんで私の名前知ってんだよ…私教えてないよ?…ってことは絶対関係者か兄様が教えたってことになる。
仕方ない…ここは無視するか
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時