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12話 ページ13

蒸気機関の化身のような巨大なポケモンを見て私たちは息を止めた。

まさかこんなところでセキタンザンに会えるなんて思わなかったよ…なんて言ってる場合じゃないのよ!

目の前にいるのは野生のポケモンなんだぞ、ここで話し合いで交渉して不可侵条約とか結びたいけど隣には何の事情も知らない少年なんだぞ。

咄嗟にガシッとキバナの腕を掴んでもう片方の手で荷物と着替えを持つと、グッと脚に力を入れてワイルドエリアを駆け抜けた。

逃げるものを追いかけるのは生き物としての本能であるわけで、セキタンザンは私達を狙うかのように目をギラつかせて追いかけてきた。


キ「くそっ…!」

『ボールからポケモンを出すな!

相手のはこちらよりも明らかに強いことは見てわかるだろ!』


つい口調が悪くなってしまったが、こればかりは仕方がない

運がいいことにセキタンザンよりも私達の方が足が早いみたいでどうにか距離を離しつつある時に私は考えた。

セキタンザンって普段は穏やかな性格なのにどうしてこちらに襲いかかってきたんだ?

なにか別の理由があるのでは…例えばどこか怪我してるとか

それに気づいた私はキバナの手を離して荷物を押し付けると岩陰に隠して来た道を戻った。


キ「おいっ!」

『そこにいて!必ず戻るから!』


走りながらキバナに待機の指示を出すと、私はセキタンザンの様子をしっかりと見た。

何故暴走してるのかの原因を考察して追求して答えを求めろ。

微かに聞こえる鳴き声を私だけが理解出来る

耳をすませればあのセキタンザンは痛みを訴えてることがわかった。


〈痛い!足の裏が痛いよ!〉


よし、足の裏が痛いのはわかったから少し待ってろ

水を吸って少し重くなったラッシュパーカーを脱いでセキタンザンをこの目でとらえると、おおきく振りかぶってそれを顔目掛けて投げつけた。

濡れた何かが着く感覚にびっくりしたセキタンザンは逆に冷静になって動きを止めた。

この瞬間を狙って飛び蹴りをくらわせると、バランスを崩してひっくり返てしまった。


『ごめんね!ちょっと乱暴にさせてもらった……

よっ!』


バタバタと動かす足を押さえつけて見つけたそれを勢いよく引き抜くと、一瞬痛がりながらもピタリと動きをとめたセキタンザン

痛みが無くなったから何が起きたのか理解出来てないのだろうな。

説明するその前に、セキタンザンを起き上がらせる方法を探すとしますかね。

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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年8月9日 23時

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