俺、あいつんとこに泊めてもらえるみたいです。

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Ki side



じゃあ…

そう言って部屋を出ていこうとする藤ヶ谷。俺がいないと寝れないって言ってたけど、引き止める台詞も思いつかず、そのまま “ おやすみ ” と言ってしまった。


｢寝れねえ…｣


あれから1時間以上経つが、藤ヶ谷のことが気になって眠れない。音がしないから寝てんのかな、でも寝れないって言ってたしな、そんなことが頭をよぎる。

あぁーだめだ！気になって仕方ねえ！


寝室のドアを開けて、リビングの様子を伺う。するとそこには、眠れなくて困っているであろう藤ヶ谷の姿があった。目こそ瞑っているが、何度も寝返りを繰り返していて、いかにも “ 眠れません ” って感じ。


｢…藤ヶ谷？｣

｢ん…お、どうした？｣

｢寝れねえの？｣

｢んー…きっと寝れるよ？｣

｢違う…お前俺いなくても寝れんの？ってこと。｣

｢それは…多分寝れる。今頑張ってるから。｣


はぁ、こうなると手強いんだよなあこいつ。絶対俺いないと寝れないくせに。現に今だって全然寝れてねえくせに。なのに強がって “ 寝れる ” とか言ってんだよな。…お見通しだっつーの。

でもこれを言えばきっと…


｢じゃあ、俺が寝れないから来てよ。｣

｢…へ…？｣

｢だから…俺が寝れないから来てって言ってんの！｣


すると藤ヶ谷は、戸惑いながらも頷いて、“ 仕方ないよな北山が寝れないんなら ” と呟きながらこっちに歩いてきた。

これで藤ヶ谷が寝れなくなるのは防げたかな？


…でも、本当の話、

俺が寝れないからっていうの、あながち間違ってないんだよな。

ここに来てから藤ヶ谷と寝るのが当たり前になってたから、隣にいないとなんか落ち着かなくて。しかもあんなでっけえベッドに1人はちょっと寂しい。

だから、寝れないから来てっていうのは、俺の本心でもある。

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