俺、あいつんとこに泊めてもらえるみたいです。

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Ki side



｢みんな置いてきやがった…｣


マネージャーの車に全員乗せて、近い人から降ろしていく。ちなみに俺は1番遠いから最後。その前が藤ヶ谷。

最近車で2人になること多いし、言い合いは絶えないし、何となく空気悪いしなあ。

ふたりきりになるほんの数十分間、それが窮屈で窮屈でたまらない。


誰もいない楽屋を後にして、駐車場へと向かう。
そこには見慣れた黒いバンが止まっていた。


｢みつ遅いってー｣

｢わりわり｣

｢やっぱ32にもなると動きもゆっくりになりますかね？｣

｢なっ！…お、お前だってそんな歳変わんねえだろ！｣

｢やっぱ最近31になった俺とは違うね〜｣

｢お前だって十分おっさんだよ！｣

｢はいはいおっさんですよ俺も〜｣

｢…なんなんだよっ｣


マネージャーに早く座れと急かされ、空いている席を探すと、


｢なんだよここしか空いてねえじゃん…｣


異議ありありだけどこのまま車が出ないのも迷惑だし、仕方なく腰を下ろす。

チラッと右側に目を向けると、既に夢の中の藤ヶ谷がいる。さっきまで話してたのにもう寝てんのか。
最近は楽屋でもよく居眠りをしているのを見かけるけど、それが仕事の疲れからなのか、俺との言い合いからの疲れなのかはわからない。…多分両方だな。


柄にもないこと言うけど、楽屋でうるさくやってる分、移動中ぐらいは静かに休ませてやってもいい…かなって思う。

お前が調子悪いと俺も困るからな。

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