俺、あいつんとこに泊めてもらえるみたいです。

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Ki side



俺のことを起き上がらせてからも、まだ俺の手は握ったまま。それどころか目にいっぱい涙をためて、じっとこっちを見つめてくる。でた、酔っ払い特有の涙脆いやつ。藤ヶ谷が泣くなんてオリンピックレベルでないけど、今日はその珍しいオリンピックの日だったらしい。


｢俺が家出ていくとでも思ってんの？｣

｢だって北山、俺と一緒のベッドも嫌そうだし…俺より渉とか玉とか、他のメンバーの家に行くのがいいのかと思って…。｣


どうやら、俺がいなくなるのかと思って心配してるらしい…。お前ってそんな俺に優しいやつだっけ？


｢いいか、藤ヶ谷。｣

｢ん…｣

｢俺の家に1番近いのは誰の家？｣

｢…俺。｣

｢今俺がいるのは？｣

｢…俺の家。｣

｢もう遅いし、誰も家に入れてくれねえと思わねえ？｣

｢…でも、北山だし…｣

｢あぁーーー！！だから、ここにずっといるから、安心しろっつってんだよ！｣


そう言うと、藤ヶ谷は伏せていた顔を上げて、“ ほんとに？ ”って聞いてきた。 “ ほんとだって ” そう返すと、嬉しそうに微笑んだ。


｢だから、寝てて？｣

｢…わかった…｣


やっと藤ヶ谷に解放された俺は、シャワーだけ浴びて、パジャマに着替えて寝室に戻った。すると、なかなか寝付けない様子の藤ヶ谷がいた。


｢寝れねえの？｣

｢ん？…多分もう寝れる…｣

｢ふーん…そんなもんか？｣

｢ん……｣

｢また明日…｣

｢ん………｣


もうすぐ寝れる宣言からまだ5分も経っていないが、藤ヶ谷は既に夢の中。俺もなかなか早く寝れる方だとは思うけど、こいつには勝てないかもしれない。

…でも、なんで俺がシャワー浴びてる間は寝れなかったくせに、戻ってきた途端寝れるんだろ。変なやつ。

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