俺、あいつんとこに泊めてもらえるみたいです。

俺のおかげ？ ページ16

Ki side



｢ん…ぅわっ！？｣


目を開けると、すぐ目の前にイケメンのどアップがあった。しかもそのイケメンは、俺の体に腕を回してしっかり抱きついている。あんなに大きな声を出したのにまだ起きる気配もない。


｢なんでこうなってんだよ…｣


確か寝る時は、藤ヶ谷は俺に背を向けてて、だから俺も藤ヶ谷に背を向けて寝たはず。なのにいつの間にかお互い向き合って寝ていた。しかも何故か抱きしめられている。おかしい…おかしすぎるこの状況…。とりあえず何とかしてここから出ないと。

時計に目をやると、まだ朝の6時。現場は8時入りだから、まだ寝ててもいい時間だ。完全に目覚めてしまった俺は、藤ヶ谷だけ起こさないようにそーっとベッドから出ようと試みた。


｢こいつ…力強え…｣

寝ているはずなのに全然上がらない腕。色々と試してはみるが、なかなか抜け出せずにいた。


｢ん…あれ…？きたやま…？｣

｢おー…あのさ、腕どけてくんね？｣

｢…ん…まだ早い…｣

｢違う違う藤ヶ谷。あの、俺ベッドから出たいんだけども。｣

｢もう少し…寝る…｣

｢おい、もう…起きろー！！！｣


なんだようるさいな…っていいながらうっすらと目を開けた藤ヶ谷。藤ヶ谷に抱きつかれてたせいで、至近距離で目が合う。最初は状況を理解出来てなかったみたいだけど、徐々に目が開いていく。そして完全に目が覚めたところで、藤ヶ谷は思いっきり俺を突き飛ばした。

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