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り「……できた!」
私はゆっくりと福尾くんが描いたイラストを見ると、そのイラストに対して大きく目を見開いた。
『ふ、福尾くん…これって…』
福尾くんが描いたイラスト……
それはまるで小学生が描いたような絵で、何を描いたのか検討つかない。
り「実は猫を描いたつもりなんだけど…ごめんね。俺絵描くの苦手なんだ」
福尾くんが描いた猫。
手足は変なところから生えていて、胴体も変な形している。
おまけに魚だろうものは口に咥えていて、私はついその絵を見て笑ってしまった。
『フフッ……』
り「やっと笑ったね」
『え?』
り「瀬川さん会ってから全然笑ってなかったから心配してたんだ。でも笑った顔見てちょっと安心した」
『ご、ごめんなさい。気使わせて…』
り「ううん。それに瀬川さんが笑った顔可愛いよ」
『……ッ!!』
福尾くんの一言で更に胸の奥が高鳴る感じがした。
り「ねぇもっと絵の事教えて?」
福尾くんはやる気に満ちた表情で私の事を待っていた。
私もさっきまでの緊張感が嘘のように消えて、2人っきりでノートに色んな絵を描き始めた。
***
り「ねぇねぇこれどう?」
『顔と体の比率が可笑しい笑』
私と福尾くんは時間を忘れる程ノートに描ききれないくらいの絵を描いていた。
私も福尾くんの絵を見てつっこんだり、教えたり…と楽しい時間を過ごしていた。
「まだ学校に残ってる奴いるかー?」
遠くから教師の声が聞こえた。外を見ると既に真っ暗になっていて、黒板アートを始めてから大分の時間が経っていた。
り「やべっ、もうこんな時間」
『早くこれ消して帰らないと』
り「ねぇこの絵、明日の朝までとっておこうよ!!」
『で、でも……』
り「大丈夫。瀬川さんが描いたのは秘密にしておくから!!」
それなら…と思い私は、うん。と頷いた。
私と福尾くんは急いで片付けをして校門まで走っていった。
『はぁ…はぁ…』
り「大丈夫?」
『うん…福尾くん足速いんだね』
り「こう見えて陸上部に入ってるからね」
だからか…と思い、私は納得した。
り「明日クラスの皆来て、瀬川さんの絵見たら驚くだろうな」
『私の絵なんか大したこと…』
り「大したことないよ!」
『……ッ』
り「俺が今まで見てきた中で1番凄いと思ってる!!だから自信もって!!」
『福尾くん……』
り「りょうでいいよ」
『え?』
り「苗字とか堅苦しいでしょ?俺もAちゃんて呼ぶから」
『うん』
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2021年11月22日 0時