特効薬は俺2

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としみつさんと喧嘩した。
私を守るなんて嘘だったんだ。

優しいとしみつさんはいない。
やっぱり裏の顔があるんだ。
自分の部屋に戻るも思い出してしまい更に涙が流れる。

そろそろ撮影が始まる時間だ。
鏡で自分の顔を見ると、泣きすぎたせいで目が真っ赤だ。
急いで顔を洗い、今日は少し濃いめに化粧してバレないようにした。

『…よし』

準備も終わり集合場所のロビーに向かう。
エレベーター乗り場に向かうと、エレベーターを待っているとしみつさんの姿があった。

と｢……｣

彼はチラッと私の方を見たがすぐに目線を変えた。
やっぱり私の事を守ってないじゃん。と思いながら、エレベーターが到着して2人同時に乗った。

エレベーター内は私ととしみつさんだけで、静かに下に降りていく。

そろそろ1階に着くと思うと、としみつさんの口が開いた。

と｢……ごめん。俺が悪かった｣

『…え？』

と｢俺が勝手に抱きしめて寝たせいで…｣

『えっと…その…』

としみつさんがいきなり謝ってきて頭が回らない私。
この時どうすれば……

『いえ…としみつさんが私をベッドまで運んでくれたんですよね？』

と｢言っとくけどいやらしい事はしてねぇぞ!!｣

『本当ですか？抱きしめたこと以外ないです？』

と｢……ほっぺにチューした｣

私ととしみつさんはその言葉で顔が真っ赤になった。
ほ、ほ、ほ、頬にキス!?

『ど、ど、どうして!?』

緊張と混乱で口が上手く回らない。
するととしみつさんは私の傍に来て、抱きしめてきた。

『としみつ…さん？』

と｢A｣

としみつさんは私の事をサクラでは無く、名前を呼び抱きしめてきた。

あれ？この展開どこかで……

と｢俺…前からお前に言いたかった事があるんだ｣

言いたかった事……これもたしか夢の中で…
私は緊張しながら『何ですか？』と問いかけた。

と｢俺…実は……Aの事…す──｣


〈1階です〉


て｢サクラちゃんおはよー!!｣

気づいたら1階に到着していて、エレベーター乗り場の前にてつやさん達の姿があった。

と｢くそっ…またあとで話す｣

としみつさんも急いで私から離れて先にエレベーターから降りる。

て｢としみつ顔赤いよ？｣

と｢べ、別に!!朝から暑いからな｣

としみつさんはベタな言い訳を言って私から離れて行った。
結局夢の中のとしみつさんと現実のとしみつさんは何が言いたかったんだろう。

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