俺の為に作ってくれ (ページ32)

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あれから何度もとしくんについて問い詰めてくるお客がやって来て、私の心はボロボロになってきた。

としくんも忙しいのかお店に来るのも連絡もない。
誰にも相談できず1人でモヤモヤしている。

その中私は今日の仕事を休み、気分転換の為近くの公園へ散歩しに来た。

この公園にはボート乗り場があり、そのボートに乗ったカップルは結ばれるという都市伝説があると聞いたことがある。

私もいつかとしくんと乗れたら……と思うと、またお店での出来事を思い出し心苦しくなる。

やっぱりとしくんに相談した方が…と思いスマホを取り出すも、としくんに迷惑かけたくない気持ちが強く何も出来ず終いになってしまう。

しばらく歩いていると噂のボート乗り場が見えてきた。

今日は珍しく1組しか乗っていなく、私はそのボートを見ていた。

『……え？』

そのボートにはとしくんと女の人が乗っていた。

気のせいかと思い目を何度も擦るもやっぱりとしくんだった。

一緒に乗ってる人はよく見えなくて分からないが、長髪だから間違えなく女の人だ。

としくんが言っていた好きな人って……

私はあの光景を見たくなくて走ってボート乗り場から離れ誰もいない木の茂みに入った。

胸もいつもより痛く苦しい……

やっぱり私…としくんの事好きになっちゃいけなかったんだ。

『としくん……』

私はしばらくその場で静かに涙を流した。

『私…もう…』

その後私は仕事を休養し、五平餅を作るのを辞めた。