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俺は初めてAにキスをした。
ヤバいと思いすぐに離れると、Aが目覚めた。
『ん…としくん?』
と「あ…起こしちゃった?」
『ううん。ごめんね寝ちゃってて』
と「…もしかして気づいた?」
『ん?なにが?』
と「いや、なんでもない」
良かった。多分バレてないはずだ。
それにしても、キスで目覚めるなんて白雪姫みたいだなとドキドキしてしまう。
『としくん、顔赤いよ?』
と「え!?だ、大丈夫!!あ!そういえば…」
俺は鞄からこの前Aから借りたハンカチを渡す。
『あっ!ハンカチ!』
と「助かったよ。ありがと」
『どういたしまして』
と「あと…この前は悪かった。急に帰って…」
『ううん。大丈夫だよ』
と「アイツに変なことされなかった?」
『うん!』
俺は何もされてない事を聞いてホッとした。
『あ、ギターある!』
「良かったら弾くよ」
『いいの?』
俺は壁に掛けていたギターをとり1曲披露した。
しかも片思いの男性が彼女に送るラブソング。
今の俺にピッタリな曲だ。
と「〜♪」
『動画で見てたけどやっぱり歌上手いね!生歌聴けて嬉しい!』
と「ありがと」
その後も何曲か一緒に歌ったり、話したりと時間を忘れるくらいAと一緒に過ごした。
『…あ!もうこんな時間』
と「送るよ。車とってくる」
『いいよ。そんな遠くないし』
と「女なんだから、何かあったら危ないだろ」
そう言って俺は車を取りに行って、再度Aを呼んだ。
と「おまたせ。助っ席乗って」
『お願いします』
俺はAを車に乗せ家まで向かった。
と「初めて女の子乗せたかも」
『そうなの?なんか意外』
と「意外ってなんだよ」
『ごめんごめん』
車の中でも他愛のない話をしているとすぐにAの家に到着した。
と「今日はありがと」
『ううん。こちらこそ楽しかったよ』
またしばらくAに会えなくなると思うと寂しくなる。
と「またうち来いよ」
『いいの?迷惑じゃない?』
と「Aなら全然問題ない」
寧ろずっといてほしいくらいだ。
離れたくない。まだ一緒にいたいと思ってると、無意識に俺はAの頭をポンポンと撫でていた。
『と、としくん?』
と「…あぁ!?わりぃ!!」
俺はすぐに手を離し、Aから目線を逸らした。暗くて分からないがきっと顔を真っ赤にしてるに違いない。
『じゃあ私行くね』
と「おう。おやすみ」
『おやすみ』
Aは車から降り、車が見えなくなるまで手を振っていた。
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2021年8月18日 22時