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子供っぽい態度とって自分って馬鹿だな
でもどうしてか、りょうさんの言うことが聞けなかった。
別に飲むなって約束したわけでもない
私何を守ろうとしてるの
としみつさんのことなんて──
もうそういう風には──
「おーい!ナリちゃーん!」
後ろから聞き覚えのある声。振り向くとそこにはりょうさんの姿が…
『ど、どうして…』
り「ちょっとスタジオに戻る用があってね。向かってたらナリちゃんの背中が見えてね」
『あの…急に席立ってすみませんでした!』
り「え?あぁそれは気にしてないけど……ナリちゃんさ……あんだけとしみつに仕打ち受けてさ、どうして平気な顔してそばにいられるの?」
『……』
言えばいいじゃんすぐに。
もう恋愛感情でそばにいるんじゃないって
でもなかなか口に出ない……
『……失礼します』
り「待って!ごめん。気を悪くした?でもちょっと心配になってさ…もしかして無理してるんじゃないかなって」
り「少しでも(好きである)期待があるなら辛いだと思うよ?」
そう私に向かって微笑んでるりょうさん。
無理……?心配……?
だからそんなんじゃ…….
り「ナリちゃんがとしみつのどこに惚れたのか分からないけど、そこまでとしみつの専属に…」
『……ありがとうございます。でも期待じゃないです。仕事の上で尊敬してるだけなんです。ほんと…』
り「……じゃあ、なんで泣いてるの?」
気がつけば私の目から涙が……
そっか……私ずっと嘘ついてたんだ
鍛えて欲しいなんて
そばにいる理由を欲しかっただけ
結局諦めきれなかっただけ
お酒我慢したのだって
送ってもらった夜のことを大事にしたくて
でも今更気づいたってもう……
『うぅ……うわぁぁん』
り「ごめんね。泣かせるつもりはなかったんだけど」
りょうさんは私を落ち着かせるように私の頭を撫でてくれた。
り「ねぇナリちゃん。こんな時に言うのもアレなんだけど…実は俺──」
「A?」
また聞き覚えのある声が私を呼んだ。
振り向くとそこには、としみつさんの姿があった。
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作者名:コロッケ | 作成日時:2023年11月1日 5時