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としくんのことを話そうと部屋に戻ってきた。
机越しに向かい合わせで座る私ととしくん。
彼がやって来てから少し時間が経ったが、やっぱり2人きりだと緊張する。とりあえず何から話せば……
と「なぁ……」
『……?』
と「お前ってもしかして俺推しなのか?」
『えっ!?どうして分かるの!?』
と「そりゃあ……これだけ俺のグッズがあればな」
そういえば部屋全体にとしくんのグッズを飾っていたの忘れてた!!まさかご本人に見られるなんて思ってもいなかったもん!!
『あぁあぁ!!そんなにジロジロ見ないでー!!』
と「まぁそれは置いといて……本題に入るけど、どうして俺がここに来たんだ?」
『だからさっき言ったままですよ……その……私の唇ととしくんのぬいぐるみの口がぶつかって……』
と「ふーん……」
としくんは私の話を受け入れてなさそうな表情だ。まぁそんなおとぎ話みたいな事が本当に起こるとは思わないよね。
と「……ぬいぐるみってこれか?」
としくんは床に落ちてるぬいぐるみを拾い上げた。
『うん…。あっ!!そういえばそのぬいぐるみ、何故か私の部屋の前に置いてあったの!!』
と「はぁ?これ自分でゲーセンで取ったんじゃねぇのか?」
『それが取りにお店まで行ったけど全然取れなくて、諦めて帰ったらぬいぐるみが入った箱があったの』
と「差出人とかなんか書いてねぇの?」
『うん…』
と「訳わかんねぇ…てか俺どうやって帰んだ?」
あっ……そう言われると、としくんを元の岡崎に戻る方法が分からない。これはもしかしてとしくんと一緒に住む!?
と「どうすんだよ!?もう夜遅いし明日は大事な撮影なんだぞ!?」
『そんな事言われても…』
と「……!!そうだ。お前また
『えぇ!?無理無理無理!!恥ずかしい!!』
と「でもしてたんだろ?この
『だからあれは事故で…ッ』
私に向かってニヤリと笑うとしくん。
もしかして今私に意地悪してる?
でも今ここでキスしないときっと何も進展しない。
私はとしくんからぬいぐるみを受け取り顔を近づける。
『あんまりジロジロ見ないでください……』
と「わ、わーってるよッ」
としくんが視線を逸らしたのを確認し、私は自分の唇とぬいぐるみの口を重ねた。
『……しましたよ!!これで満足です……ってあれ?としくん?』
ぬいぐるみから離れ、としくんの方を振り向くと、としくんの姿が消えていた。
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2023年10月23日 1時