Kiss the doll (ページ49)

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あれから──

『としくん!!今日個チャン出すの？』

と「あぁ。あと10分後に出す予定だ」

年も明け、東海オンエアは3月に活動再開、個人チャンネルも各々再開し始めた。

今日はとしくんが今年一発目の動画を投稿する。
内容はこの間終わったばかりのライブツアーの振り返り。
他のライブはどんな感じだったのか楽しみだ。

そうそう。あれから私達はぬいぐるみを使ってお互いの家を行き来している。結局ぬいぐるみの謎は判明しなかったけど、これがあるおかげで今の私達がいて感謝してる。

と「お、始まるぞ」

プレミア公開のカウントダウンが始まり、私はとしくんの隣に座り公開を待つ。

『……始まった！』

ついに始まったツアーの振り返り。
その回の裏側や歌……どこを見てもかっこいい。

しばらく見てるうちに今度は私が行った北海道公演。
としくんがMCしてる時、最前列にいた私が映ってるのに気づいた。映ってるのは嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいな。

その後も続くライブの振り返り……
そしてファイルの様子が映った時──

『……ん？としくん何してるの？』

そこには最前列の人と握手してるような仕草。
もしかして女の人と……？

と「あれは男としてんだって。女には手を出してない！」

『ほんと？』

女の人には手を出さないのは分かってるけど、少し困らせようと意地悪する私。

『あーあ……もう知らないー』

私は動画を見るのを辞め、彼から離れベッド上で2つのぬいぐるみで遊ぶ。

手を繋げたり、頭を撫でたり……少し恥ずかしいけどぬいぐるみ同士でキスをさせようとすると──

『……キャッ!!』

としくんは私を押し倒し、ぬいぐるみ達は床へと転がっていた。

『と、としくん……？』

と「嫉妬してんのか？」

『べ、別に嫉妬なんて……んッ!!』

としくんは私の手を握り唇を塞いだ。

と「言っただら？お前しか見ねぇって」

『としくん……ッ』

と「だからお前も一生俺を推してろ」

『うん』

突如現れた2つのぬいぐるみ

キスしたら好きな人がやって来る魔法のぬいぐるみ

この子達をきっかけで結ばれた私達

私達はこの子達に感謝しながら幸せに生きていく

【END】