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次から次へと質問してくるとしくん。
昔だったらかっこいいとかで済ましてたけど、としくんは違う。
『うーん…昔は推しとは付き合いたいっていう気持ちはなかったなぁ』
と「昔は?じゃあ今はどうなんだ?」
『…ッ!!』
しまった!言葉の選択を間違えてしまった!
これだと今は恋愛視してるように思われてる!
『と、としくんはファンと会って可愛いとかこの人と付き合いたいっていう人いたの?』
と「そうだな…俺も昔はこの子可愛いなぁって気持ちがあったけど、今は付き合いたいと思ったことは無いな」
『そうなの?でもとしくんかっこいいからすぐに彼女さんができそうな──ッ』
としくんに彼女…?
そうだよね。としくん人気者だから今にでも彼女がいてもおかしくないよね。さっきの寝言も気の所為かもしれないし、たまたま同じ名前の人の事が気になってるに違いない……
今だってここにいるのは私と約束を果たしに来てくれただけで私の事は
『……ッ』
どうしよう…急に目から涙が……
私…としくんのこと推しとしてじゃなく
恋愛として
『ごめん!眠くなってきたから今度こそ寝るね!』
私は布団に籠り声を殺しながら涙を流した。
私としくんが好きなのに伝えることができない
とてもとても…弱い人間だ
翌朝。
目を覚ますと隣で寝ているとしくんはまだ起きていなかった。昨日の話変に思われてないかな…
話すの気まずくならないかな…
とりあえず顔を洗って出かける支度しないと。
『やっぱり少し赤い』
鏡で自分の顔を見ると、昨夜泣いたせいで目が少し赤く腫れていた。
本当は泣くつもりは無かったんだけどなぁ。
とりあえず顔を洗って目を落ち着かせないと……
早朝は寒いからぬるま湯を出して顔を洗う。
よし、こんなもんかな?たしか横にタオルを置いたはずなんだけど……あれ?ない?洗ってる最中に落とした?
しかも目にお湯が入って全然目が開かない……
私は辺りを手で詮索してると「ほらよ」と手の上にタオルが置かれた。
そのタオルで顔を拭き後ろを振り向くと、としくんの姿があった。
『としくん!!』
と「おはよ。顔洗ってたのか?」
『うん。タオルありがと』
と「いーや。…ん?ちょっと目赤くないか?」
『えっ!?タオルで擦りすぎたかな!?』
と「あんま刺激与えるなよ」
そう言いながら私の頭をぽんぽん撫でた。
『……ッ!!私着替えてくる!!』
私はとしくんといるのが怖くなりその場から逃げた。
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2023年10月23日 1時